ぼちぼちと都市に暮らす

住んでいる大阪の街についていろいろとかんがえてみる。

府市一元化案の反対と広域行政の再定義

最近はコロナウイルスについての投稿が多かったで、都市や自治体について久々に考えてみます。

昨日1月18日に毎日新聞に『大阪都構想、否決から2カ月 なぜまた「府市一元化案」 市民団体、解散取りやめ 「納得いかぬ」』という記事がUPされていました。大阪都構想の反対していた、平松元大阪市長との関係もある市民団体のようです。

大阪都構想の本来の目的は、府市一元化による広域行政の強化ですが、なぜか法律では政令市を廃止して特別区を設置する賛否投票になってしまいました。二重行政を解消するためには、現行法律上では都政を選択するしかないのですが、それをなんとか政令市を残したまま、二重行政の解消と広域行政の強化するの「府市一元化条例」が検討されています。

政令市は「妥協の産物」と言われていますが、なにを妥協したのかというと特別市を妥協して、政令市になった歴史です。横浜市の林市長は高齢化の対策のためにも、特別自治市を実現し、神奈川県に収める数千億円の市民税を、有効に使いたいという意向です。金をすべて差配したいのは分かりますが、周辺市や広域行政への関係はどうするのかと思います。都政以外に二重行政を完全に解消する方法こそ、特別自治市制度ですが成立は相当困難だと思います。

ではどうするのか…

ここからは管理人の個人的意見ですが、広域行政を再定義することが、都政・特別自治市以外の選択肢になると考えています。具体的に言えば、ズバリ「道州制:です。大阪都構想の2度目の住民投票の否決までは、大阪都構想すら実現できないのに道州制など夢のまた夢と考えていました。

しかし、基礎自治を住民サービスとすれば、広域行政は経済政策や都市インフラ等に特化し、都道府県という行政区画ではなく、「州」単位で取り組むほうがより強い政策を実行することができるはずです。

コロナ渦以前のインバウンドによる経済への影響は、大阪府だけではなく京都や奈良・神戸など、周辺都市への波及と相乗効果が大きかったことが一つの理由です。2月に提案される「府市一元化条例」は、主として都市力や経済政策を担うようですが、それならば、より広域な政策を実現した方が、関西の府県にとっては利点が大きいと思います。

現在は国・都道府県・市町村という行政単位ですが、国と都道府県の間には、行政区画がありません。道州制ならば国と地方の分離もわかりやすく、政令市と府県との二重行政も起きませんし、特別自治市を設置する必要もなくなります。

大阪市を残すことと経済成長を同時に目指すなら、自民党大阪は道州制こそ目指すべき制度でしょう。府県を超える広域行政組織としては、関西広域連合がありますが、合議制の組織であり強力なリーダーシップを期待することはできません。

平成26年には「道州制推進基本法案(骨子案)」が出来ているのですから、議論を加速するべきです。

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府市一元化条例の実現を目指す大阪維新の会ですが、同時に到達目標として道州制の実現も併せて強く発信すべきでしょう。

道州制については、まだまだ議論はこれからですが、少しでも早く道州制推進基本法
を国会提出してもらいたいと思います。二重行政の不毛な対立を解消し、中央集権の解消と地域主権を実現できる道州制は、もっと優先的に議論されるべきです。

不顕性感染者(無症状)とPCR検査と医療崩壊について

毎日コロナウイルスの感染報道が盛んですが、冬になって感染が拡大する理由はいくつもあるようです。管理人が最も感じることは、気温が低くなると窓を閉めて暖房することが、感染を拡大させる原因ではないのかと思います。

夏場や気温がある程度高い時期は、窓を開けて常に換気する状態なので、密閉がない状態です。しかし、寒くなると窓を閉めてしまうので、必然的に密室状態になってしまいます。環境が変化しているのに、相変わらず昨年春と同様な緊急事態宣言で、果たして効果が出るのか非常に疑問です。

感染拡大のもう一つは、感染が増加するということは不顕性感染者、つまり感染しても症状が出ない人の割合も増加するということです。コロナウイルスに感染しても、無症状や軽症の割合は50%以上と言われており、無症状の人は自分が感染している自覚がないのだから、他者への感染を防ぎようがありません。

不顕性感染者の他者への感染力がどの程度化は、はっきりしたデータがないようですが、コロナウイルスに感染していることには変わりありません。

まとめると、冬期の感染を防止するには、まず換気できないことを前提でどのように対策するのかと、不顕性感染者を早期発見できるかが必要ではないかと思います。不顕性感染については新型コロナウイルスだけではなく、インフルエンザでも問題になっていた要因です。

不顕性感染者を発見するには、検査によって発見するしかありませんが、すでに市中感染が拡大している状況では、クラスター潰しは機能しないでしょう。そうなれば、中国のように数十万人を短期間で一斉検査することが必要です。

これ自体が日本では現実的ではない上に、もし可能だったとして、一斉検査後の対応が可能なのかという問題があります。広島県が最大80万人を集中検査するようでが、これを実行した場合に、不顕性感染者が大量に見つかった場合に、医療対応できるのかが問題になるでしょう。

現在の指定感染症2類以上の指定では、感染者は隔離することになります。80万人検査して数万人の感染が確認された場合に、医療体制は完全にパンクするでしょう。有力政治家やTVがPCR検査を拡大しろと言いますが、もしやれば保健所の機能は麻痺し、医療体制も崩壊するのではないでしょうか。

1月15日に大阪府関係職員労働組合が、保健師や保健所職員の定数増などを求める約6万人分の署名を、吉村知事に提出し、同様に田村厚労大臣にも提出しています。全国の保健所職員の署名をまとめて提出したのですが、不休で対応している保健所の職員たちは既に限界です。やはり指定感染症を5類に引き下げるべきだと思いますが、厚労省はまったく省みる様子はありません。

そうであるならば、偏っている医療資源を弾力的に運用できる体制にかえることこそ、最優先すべきではないかと思いますし、政府と国会が真っ先に議論して制度を早急に作ることが、現下の最大のコロナウイルス感染症対策でしょう。永田町では選挙の政局ばかり目が向いているようですが、与党自民党の危機管理力の無さには絶望するしかありません。

医療崩壊と医師会、菅総理の国民皆保険の発言について

菅総理が13日の記者会見で「国民皆保険、そして多くのみなさんが、その診察を受けられる今の仕組みを続けていくなかで、コロナがあって、そうしたことも含めてもう一度検証していく必要があると思っている。必要であれば、そこは改正をするというのは当然のことだと思う」という発言が波紋を呼んでいます。

慌てた加藤官房長官は否定し、自民党議員からは、「国民皆保険に触れたのは、大きな誤解を生むことになった。これは本当にやばいです」と火消しに必死なようです。

なぜ国民皆保険発言がこれほど大きな波紋を呼ぶかというと、国民皆保険こそ医師と医師会にとっての既得権益で、自民党議員の多くは逆らえない、敵に回せない組織だからです。

菅総理の発言が説明不足なのは明らかですが、この発言はコロナウイルスでの重症化率が激増しているにもかかわらず、大した努力もせず危機を煽る医師会に対しての警鐘ではないかと思います。

BLOOGOSで青山まさゆき氏も同様の指摘をしています。

つい飛び出した菅総理の本音 (blogos.com)

ブログの中で青山氏は「民間病院が協力してくれないなら、あるいは今の医療体制に問題あるなら国民皆保険とかのまさに根本にまで踏み込んで医療体制を検証して見直すよ、という菅総理のものすごい恫喝だったのではないか?」と推測しています。

さらに『ここで総理が口走った「国民皆保険制度の検証」は、実は医師会にとって、とてつもないインパクトのある言葉。開業医の方が、経験の差、腕の良し悪し、説明の丁寧さ、設備の有無など、医療機関同士の間での競争要因が結構あるにも関わらず、無競争で、今の厳しい競争社会から切り離された聖域のような状態で均一に高所得を得ている秘訣は、実は国民皆保険制度』と医師会と国民皆保険制度の本質に切り込んでいます。

冒頭の自民党議員の火消しとは、簡単に言えば医師会に逆らうことは、自民党議員の地位を危うくするという意味です。医師会が自民党に対してどれほど巨額の寄付を行っているか。そして選挙での支援を行っているかを考えれば、自民党議員が狼狽するのは当然です。

管理人は以前にある地域医師会内部の連絡名簿を見たことがありますが、その中には「選挙対策」というポジションがあるのです。医師会は国民皆保険と診療報酬という既得権に守られ、政治家はその対価として集票をしているということです。

菅総理の発言は既得権を甘受しながら、医療崩壊に協力をしない医師会への不満やクレームという意味があったのではないでしょうか。日本医師会の役員名簿を見れば、殆どは民間医療機関の経営者です。

コロナウイルス指定病院の最前線で働いている医師はすべて勤務医です。勤務医が重度の医療を担っていて、ハイリスク・ローリターンに対し、症状の軽い患者を診察し、ローリスク・ハイリターンなのが開業医です。このような不平等が実施される仕組みこそ、国民皆保険という制度です。さらに、診療報酬というカルテルのような仕組みは、技術やサービスの優劣が機能せず、優れた治療も下手な治療も報酬は同じという不平等な仕組みです。

医療法人社団KNIの北原茂実理事長は「国民皆保険GHQが戦後日本の医療を先進国に近づけるために導入した発展途上国型の実験的システム」とまで言っています。つまり先進国の医療制度ではないということです。

今回の新型コロナウイルスは、日本の医療制度そのものの問題もあらわにしました。国民皆保険をWeb検索すると、医師会などの称賛の嵐です。混合診療に大反対するのも、診療報酬という、社会主義的な制度を死守せんがためなのでしょう。このような背景があることが、大阪府の吉村知事による「医療界も有事への切り替えを」という、病床確保要請の発言につながっていると思います。

感染者や死者数が欧米の数十分の1という日本で、医療崩壊が起きるのは自民党厚労省と医師会というトライアングルの結果なのでしょう。

既得権を温存させてしまった大阪市民の大きな過失

2020年11月1日投票の大阪都構想住民投票ですが、今日1月13日に産経新聞より「都構想コスト増試算は捨て身のクーデター説」という記事が出ました。内容を引用しながらこの事件を再度振り返ってみます。

記事の冒頭には「既得権益を死守しようとする「中之島一家」の影がちらついた」と、大阪市役所に長年温存する大きな既得権の存在を示唆しています。産経新聞大阪市に情報開示請求して、一連の資料を入手しているようです。

まず主犯である財政局の前財政課長と、毎日新聞記者との親密さが紹介されており、非常に親密なやり取りをしていたことが分かります。

前財政局課長は当初は、投票妨害ではなく意図的ではない、あくまでも過失だと責任を回避していました。ところが、後に自分たちに不都合な公文書を、秘密裏に破棄していたことが明るみになります。

破棄した理由について産経の記事には『市の聴取に対し、上司2人に廃棄を持ちかけた前税制課長は「(記事が毎日との)共作と思われるのではないかとの恐怖心に駆られた」と説明したという。』という極めて無責任な説明がされています。

なぜなら、個人で同じ資料を入手した方の情報を見ると、共作を疑われるどころか、この前財政課長がマスコミを主導していたのです。

大阪市はこの3名を、呆れるくらい軽微な懲戒処分にしましたが、その説明は信じられない他人事です。『市人事室は理論上の数値でしかない試算を報道機関に提供し、「市民に誤解と混乱を生じさせた」と判断。「(都構想が目指す)特別区に移行した場合のコストの問題と受け止めた人がおり、(投票行動に)影響があった」との認識を示した。』

「投票行動に影響があった」で済む話なのでしょうか?

もしこれが憲法改正国民投票であったなら、政府や自民党は投票行動に影響があったで済ませるのでしょうか。

続いて「エリート集団の策謀」として、「大阪市役所の所在地にちなみ「中之島一家」と呼ばれた強固な体制の影を見たとの声もある。」と事件の原因を挙げています。

そして「行政当局と市議会の与党会派、職員労働組合が三位一体で市長を担ぎ、市政を長年にわたり掌握。こうした体制による恩恵を既得権とみなし、最終的に都構想に行き着く行政改革を掲げてきたのが維新だった。」と中之島一家とい既得権の存在を紹介しています。

処分された3名は何十年も財政局所属だったようで、一般の企業では考えられないような人事の固定化です。これでは様々な利害関係が構築され、市民優先ではなく、組織の利害が優先される構造に陥ることは当然と言えます。

続いて記事には、『都構想可決で大阪市が廃止されれば、予算規模は縮小し、権限も「中核市並み」にとどまるはずだった。市役所の一部では一連の問題について、強大な権限を手放したくないがための、捨て身のクーデターだったとの見方も出た。』と疑いを紹介していますが、毎日新聞がスクープとした218億円記事が出た、10月26日以前には自民党の市議員や共産党の市議員も、この捏造数字の存在を知っていた模様です。

 

大阪市は過去に様々な不祥事を多発し、市民に課題な負債を負わせてきました。その根源が残存され、結果に対する認識も甚だしく甘いとしか言わざるを得ません。大阪府大阪市は、広域一元化条例と大阪市は総合区条例を2月の各議会に提案するようですが、どれだけ効力があるのかは分かりません。法律と違い条例だと議会で廃止することも難しくないと思います。

2度の住民投票の失敗で、公明党大阪維新に対する姿勢も変わっているでしょうから、条例案がすんなりと可決するのかも分かりません。捏造によって投票行動が大きく歪めれられたとはいえ、大阪市の強固な既得権が温存されたことは、市民にとって将来の大きな禍根となるのではないかと改めて危惧します。

先般京都市が財政危機で数年後には、財政再建団体になるという報道がありました。大阪市も過去に同様な財政危機があり、行財政改革によって財政債権を行いましたが、中之島一家が最大の力を持っていたのも、過去からこの時期くらいまでです。

京都市中之島一家が存在するのかは不明ですが、過去に東京市大阪市京都市は三市特例に指定され,、東京市は廃止されましたが、大阪市京都市という歴史的な都市が、どうして同じように財政危機に陥るのでしょうか。詳しい理由は分かりませんが、管理人の個人的な見方は、広域行政と基礎自治を内包するという曖昧さではないかと考えています。

巨額の予算と広域権限がなければ、中之島一家のような強固な既得権組織は生じなかったと思います。住民サービスのために地下鉄等の様々な広域行政施策の裏には、天下り団体や既得権団体と密着し、税金を浪費する体質に陥りやすいのでしょう。お金が無ければ既得権も生まれないし、温存もできません。

やはり広域と基礎自治の分離は、成功させるべきだったと悔やまれます。

大木提言と指定感染症の見直し

昨日のBLOGSに「新型コロナウイルス 緊急事態宣言発令、医療の現状 読むべき大木提言」という記事が投稿されており、新型コロナウイルスについての医療体制の現場が記されていました。

blogos.com

著者は「とある総合病院に勤めている若手脳神経外科医」とのことです。

この方のネットワークでは医療崩壊は起きていないとのことで、記事の中では指定感染症2類を見直す次期ではないかと言われています。

この記事の中で、国際政治学者の三浦瑠麗のツイートが紹介されています。

<blockquote class="twitter-tweet"><p lang="ja" dir="ltr">今後コロナ患者が増加した場合の慈恵医大の対処方針などが書かれています。大木さんの提言。(1/2) <a href="https://t.co/OumBpvYWT1">pic.twitter.com/OumBpvYWT1</a></p>&mdash; 三浦瑠麗 Lully MIURA (@lullymiura) <a href="https://twitter.com/lullymiura/status/1347070720979857409?ref_src=twsrc%5Etfw">January 7, 2021</a></blockquote> <script async src="https://platform.twitter.com/widgets.js" charset="utf-8"></script>

三浦氏は慈恵医大の大木医師の提言を掲載しており、その内容を簡単に言えば、医療崩壊を回避するには、①感染者数を減らす ②受け皿である医療体制を強化する という2点が対策になるとし、大下医師は経済的打撃も大きい「感染者数を減らす」ことよりも、医療体制を強化することを最優先するべきだとの考え方です。

提言書には新型コロナウイルスの致死率は、東京都の世田谷区が実施したPCR検査データを見れば、季節性インフルエンザ並であり、指定感染症を見直すべきとの提言がなされています。提言書の4)には「第二類感染症指定の益と害」として、2類していによる様々な弊害が記されています。

先日も小沢一郎氏が全国民にPCR検査を行えと言いましたが、まったく現実的ではありません。もし1日に10万人のPCR検査が可能だったとしても、検査だけで1400日かかる計算です。こんな非現実的なことを政治家が表明するとは、呆れてものが言えません。TVのコメンテーターもPCR検査数が足りないと不満を言ってますが、もし感染者を特定して隔離し、感染を完全に防止するのならば3日とか4日で、全国民を一斉検査する必要があります。抗体検査と違いPCD検査は現時点の判定しかできないからです。その検査の期間は出勤も会食も学校なども、一切停止しなければ意味がありません。

提言書は長いので9)の結論を読めば、何が必要なのかは理解できます。TVやマスコミも短絡的に医療崩壊の危機を煽るのではなく、過剰な2類指定を見直し、柔軟な医療体制を実現すれば、経済活動を止めなくても新型コロナウイルスへの対応は可能だということでしょう。

方法はあるのにリスクを取らない政治と行政と専門家たち、さらに無責任なマスコミによって、医療崩壊が起きるならば私達国民は、はなんのために税金を払っているのでしょうか。

専門家と医師会と厚労省で医療と保健所は崩壊する

今日1月8日のモーニングショーで、新型コロナウイルスによる緊急事態宣言を取り上げていました。その中でコメンテーターの長嶋一茂さんが、「指定感染症を5類に下げるのはどうなのか?」と、出演していた感染症専門家の岡田晴恵氏に質問したところ、岡田氏は即答で「2類から下げるべきではない。感染者の追跡調査ができなくなる」と発言し驚きました。もう医療崩壊が始まっており、保健所も業務限界を超えて崩壊状態なのに、まともに追跡調査などできる状態ではありません。

Webのデイリー新潮に12月31日の記事が再掲されています。タイトルは「医師、保健所から「コロナをインフルと同じ5類指定に」という悲鳴 声を大にして言えない理由」です。この記事には12月17日に「報道ステーション」に出演した、日本赤十字社医療センター呼吸器内科部長の出雲雄大医師の発言を紹介しています。出雲医師は、『新型コロナは「指定感染症から外すべき」であり、インフルエンザと同じ「5類まで下げるべき」だと』主張したとのことです。

医師、保健所から「コロナをインフルと同じ5類指定に」という悲鳴 声を大にして言えない理由 | デイリー新潮 (dailyshincho.jp)

現役の医師が全国版の報道番組で発言した意義は、非常に大きいにも関わらず、政治も行政も反応なしです。さらに驚くことに新潮社が出雲医師に直接聞き取りを依頼したところ、「本件に関しての取材は病院からの許可が出ない」と所属病院から発言を止められているとのこと。

12月初旬には全国保健所長会からも、同様の提言がなされているにも関わらず、指定感染症の見直しがされる気配はまったくありません。季節性インフルエンザでは年間1千万人以上が感染し、年によっては約1万人が亡くなるにも関わらず、医療崩壊という言葉を聞いた記憶がありません。

1月7日の時点で新型コロナウイルスの死者数は3886人ですが、2019年には3500人以上が季節性インフルエンザで亡くなっています。つい最近のことですが医療崩壊が叫ばれたことはありません。季節性インフルエンザはワクチンも治療薬もあるにも関わらず、新型コロナウイルスと同じくらいの死者数なのに、なぜ専門家や医師会・厚生労働省は沈黙していたのでしょうか? それは指定感染症法で5類に指定されているからのほかありません。

昔ある家電メーカーの元重役の方が、「新製品開発は賢い人間ばかり集めてもダメだ。品質と理想を追いかけて、いつまで経っても製品が完成しない。だから賢くない人間も混ぜないといけない」と言っていました。現在の専門家はそのような視野に陥っているのではないかと思います。ゼロリスクを求めることは理想ですが、現実的な折り合いを付けなければ、医療が崩壊してしまいます。医療崩壊を叫びながら、実は自分たちが医療崩壊の原因になっているなど想像もしないのでしょう。

医療崩壊の危機を叫びながら、指定感染症は2類以上を守れと矛盾した発言を平気でTV発言する人が、本当の専門家なのかはなはだ疑問です。管理人の感想としては専門家バカに陥り、医療体制が整わないと逃げる医師会、責任を負いたくない厚労省、そして責任を丸投げする政府の包括的な失敗が、今日の混乱を招いているとしか思えません。

大阪にビズジーンというベンチャー企業があり、新型コロナウイルスの簡易検査キットを開発しています。開発資金をクラウドファンディングで募ったところ、希望額の25倍のお金が集まりました。しかし、大阪府の反応はほとんどありません。大阪府はあくまでもPCR検査に固執しているようですが、感染増大している状況で固執してどうするのかと不思議です。

緊急事態宣言や特措法改正の前に、指定感染症の見直しこそ医療崩壊を阻止する最善策ではないのでしょうか。

二重行政の解消と広域一体条例の意味とは

1月5日のABCニュースには「大阪都構想の【代案】まちづくりは広域一体条例案 調査で賛成が反対上回る」と賛成が、反対を大きく上回ったようです。まだ具体的な条例案も示されていませんが、大阪市民にとっては、二重行政の解消は概ね良いという判断なのでしょう。

二重行政は嫌だが大阪市を廃止するのはNOという判断の中で、広域一元化条例の案が示される運びとなっています。2月議会に提案されて議論されるのですが、この条例案がどれほど有効なのかは今のところ見当がつきません。

根本的な解消方法は大阪市を廃止して、大阪府に一元化する大阪都構想ですが、住民投票で否決されましたから、静岡県の川勝知事いわく「『二重行政』という課題の解決に向けて知恵が求められている」とすれば、広域一元化条例は一つの知恵ではあります。

広域一元化条例の拘束力がどの程度になるのか分かりませんが、条例には罰則を課すことができます。しかし、さすがに首長に対して罰則を設けることはできないでしょう。

二重行政解消に関する条例と言えば、自民党大阪府連が政策立案し、大失敗で終わった「大阪戦略調整会議」(大阪会議)が思い出されます。知事と政令市長と両議会議員が集まり、広域行政に関する議論を行うことで、二重行政の解消と広域戦略が実現できると豪語していました。しかし、結果は散々で橋下市長からは「大阪ポンコツ会議」と揶揄され、議論にすら入れず終わってしまった悪夢のような事例でした(結局これが2度目の住民投票の契機になったのでが…)。

大阪会議が失敗した理由はいくつもありますが、管理人としてはマネジメントと決定権が、まったく不明確だったことに尽きるのではないかと考えています。大阪会議のベースは地方自治法における、「指定都市・都道府県調整会議」です。地方制度調査会で提言され、総務省自治法を改正して追加したものです。

この調整会議も決定権が付与されていません。もし知事と政令市長が決定で決裂した場合は、有識者が検討して解決を提案するという内容だったと記憶しています。これでは大きな効力は期待できません。今回の広域一体条例は、調整会議をさらに前にすすめるという位置づけのように思います。つまり話し合いだけではなく、都市計画や成長戦略を副首都推進局で取りまとめ、福祉や教育は従来通りに大阪市で行うという方式です。

話し合いではなく具体的にテーマを絞って、大阪府大阪市の機能を一つにして計画立案するという試みなのでしょう。

問題はどれほど実現可能かということになるのではないか。副首都推進局が成長戦略案や都市計画案を策定して提案したとして、知事と政令市長が合意するのか、知事と政令市長が合意したとして、府議会と市議会で成立するのか。大阪維新の知事と大阪市長である限りは、知事と市長の合意は問題ないでしょう。しかし、どちらかが大阪維新出身でなくなった場合に、合意が担保されるのかが不明です。

また、府議会と大阪市議会も同様に議案が成立するのかも分かりません。大阪都構想が実現していれば、大阪府議会だけで決定が可能ですが、2つの議会で成立させるのは難しさがあります。特に大阪維新過半数を持たない大阪市議会では、他会派が決定を左右することになります。

二重行政をなくすには、広域行政と政令市の重複権限に優先度をつければ済むことです。今回の一元化条例のように成長戦略・都市計画などは知事に優先権限を持たせれば、権限の衝突は起きません。しかし、それが出来ないから大阪都構想や一元化条例が出てくる訳で、地方自治法というよりも痴呆自治法とでも言うべきかもしれません。

成長戦略や都市計画など広域行政で取り組むべき事務は、都道府県に権限を優先させるように、法律を改正すべきではないかと思います。

特別自治市制度で問題になるのは警察問題です。特別自治市は広域行政の権限をすべて、特別自治市が持つことになり、そこには当然に警察も含まれます。そうなると例えば、大阪府警は大阪特別市警の管轄に手を出すことが出来なくなり、広域捜査に大きなマイナスになります。

こんな不効率なことを何十年も行っているのが、二重行政問題です。今回の大阪府大阪市の広域一元化条例は、二重行政解消ということでは意味があるのですが、本当に必要なのは地方自治法を改正して、行政区画に応じた権限の再定義ではないかと思います。