ぼちぼちと都市に暮らす

住んでいる大阪の街についていろいろとかんがえてみる。

218億円と大阪市財政局

毎日新聞218億円報道」というブログで毎日新聞218億円記事について書いたのですが、あまりにも内容が不可解なため、さらに情報を確認をしてみました。

2020年11月11日大都市・税財政制度特別委員会で、大阪維新の会 高見亮議員の質疑の動画が公開されているので見てみました。

委員会の様子は下記のURLから閲覧可能です。
http://osaka.gijiroku.com/g07_Video2_View.asp?SrchID=1110

まず最初に個人的な結論ですが、極めて計画的というか確信犯的としか思えませんでした。

この事件を時系列にすると

9/28  日経新聞から取材申し込み
9/30  財務局課長より日経新聞に回答
10/9  大阪日日新聞毎日新聞から財政局へ取材依頼
10/12  住民投票告示日
10/13  共産党市議員より218億円の数字について課長に問い合わせ
10/15  毎日新聞記者が課長に草稿を手渡し説明(上司に見せた後に局内に保管)
10/23  NHK討論番組で共産党議員が218億円に言及
10/25  毎日新聞記者が修正した草稿を課長あてにメール
10/26  毎日新聞 218億円記事を報道
10/29  財政局長謝罪会見
11/1  住民投票

大都市・税財政制度特別委員会の動画ページには当日の資料も閲覧できるようになっています。高見議員の提出資料①には日経新聞の記者からの取材申し込み内容が記載されており、取材のねらいには「大阪市廃止・特別区設置にかかる住民投票に向けた情報収集」と書かれています。

大阪市財政局は都構想に関わる取材ということを取材時から認識していました。

なぜ確信犯的なのかというと
・都構想関連の取材だと認識していた
・課長の所管業務ではなかった
住民投票の告示日が目前だった
・副首都局に一切連絡をしていない
・市長・副市長にも法定協議会にも一切報告も相談もしていない
毎日新聞から2度にわたって記事の原稿を事前確認している

局長は十分説明すれば市民に理解いただけると弁明していますが、この弁明自体が218億円の数字に対するリスクを十分認識していたという裏返しです。市民に理解してほしかったのは試算数字ではなく、財政局の意図と狙いだったのではないか、そしてその狙いは的中し意図は達成された。あとはいかに過失だったかを訴求し、全面的に謝罪して非を認めることで幕引きをはかるということだったのでしょう。

また、高見議員の追求に対して担当課長は、「軽微」と判断したと答弁していますが、常識的に考えて年間218億円、10年なら2180億円の数字が軽微と考える事自体が異常でしょう。

局長も課長も地方財政に関する問い合わせなので、財政局が説明する義務があるという答弁をしていますが、局長も財務課長も日経新聞の取材は都構想に対する取材だと十分認識しています。

財政局長も担当課長も新聞社からの取材であり、毎日新聞からの草稿を2度も確認していれば記事になると考えるのが正常です。さらに局長はあれほど大きな記事になるとは考えていなかったと釈明していますが、原稿の草稿をみればA4用紙1枚にびっしりと書かれており、小さな記事という認識はあまりにも非常識と言えます。

橋下元大阪市長大阪市のクーデターと言いましたが、市長も副市長も知らず、副首都推進局にも知らせずに局長の専決処分で情報提供し、発表後に態度が一変するなど信用しろと言う方が無理でしょう。

管理人は財政局長と部下の確信的なクーデターとしか考えられませんでした。

さらに毎日新聞大阪日日新聞だと思いますが、2社が取材して4日後に共産党市議から218億円の事実照会が財政局の財務課長に来ています。新聞社が共産党議員にリークしたことは間違いありません。毎日新聞の報道の3日前に共産党市議がTV討論で、218億円という具体的な数字に言及し、財政局長や課長は肝を冷やしたのではないでしょうか。

大阪市財政局の言い訳は次のとおりです。
・十分説明すれば誤解を生まないと思った
・軽微な事案なので財政局判断で済むと考えた
・重大な過失があった
・思い上がりがあった 等

真偽は分かりませんが、平職員なら軽率な判断で大きなミスをすることもあるでしょう。しかし、今回の事件は大阪市という巨大組織の財政局主体で行われ、提供資料は公的文書と言っています。財政局の組織ぐるみの犯行といっても齟齬はないでしょう。財政局長も課長も故意ではなく「過失」だと言っていますが、1月以上にわたり何度も事案の展開がある中で、ずっと過失を連続することはあまりにも不自然ですし、理解されるかどうかが不安なら市長や副市長に相談すべきです。

日頃から責任回避を優先する役人の考え方とは隔世があり、これほどのリスクを犯すことは極めて異例です。橋下元市長や吉村元市長は政治家が責任を取ると言って、役人達の尻を叩いてきたのですから驚くべき事件です。

市長にも担当部局にも法定協や議会にも知らせず、財政局と新聞社の間で秘密裏に進めたという住民投票妨害工作であったという疑惑はますます深まるばかりです。