ぼちぼちと都市に暮らす

住んでいる大阪の街についていろいろとかんがえてみる。

大都市制度を素人的に考えてみる

この10年間大阪では大阪都構想の2度の住民投票と賛成反対の議論が行われてきました。

大阪都構想の賛成派からは「府市一体」や「二重行政の根絶」などが主張され、反対派からは「大阪市が無くなる」や「金がかかり住民サービスが低下する」という主張で、両方ともどちらかというと市民感情にアピールするようなものでした。

その理由は大都市制度や行政改革は内容が難しく、一般的に理解がしづらいことだと思います。

大都市問題は別に大阪都構想から始まった訳ではなく、歴史を遡れば6大市による自治権獲得から、東京都政が成立した以後の昭和初期頃からの特別市運動があります。結果的に特別市運動は頓挫し、その代替え案として政令指定都市制度が設置され今日まで続いています。

政令指定都市制度は妥協の産物と言われますが、1956年(昭和31年)に制定され2020年の現在で64年も続いているのは皮肉と言えます。

なぜ大都市問題は古くから議論されてきたのでしょう。

大都市問題は東京や大阪などの都市部に人口が急増し、官選知事による中央集権体制に対する市の自治権の獲得だったようです。東京市京都市大阪市の三市特例などは、官選知事が市長も兼任し市の事務方も府庁の役人だったようです。それだけ明治時代には東京・京都・大阪の3都市は他の一般市とは異なる別格だったということです。

その後に東京市横浜市名古屋市京都市大阪市・神戸市は6大市と言われ、1922年(大正11年)「六大都市行政監督ニ関スル法律」によって、府県知事の許可を受けなくても市制を行うことができるようになります。

大都市制度も広域側から考えるのと政令市側から考えるでは視点がまったく異なります。

大阪都構想は広域行政側から考えた大都市制度で、府市を一体化し広域行政を強化する、つまり東京都型の大都市制度です。片や特別自治市政令指定都市側から考えた大都市制度で、政令市を道府県から独立させて基礎自治体でありながら完全な広域自治体を確立するものです。特別自治市道府県から完全に独立するので道府県政令市の二重行政問題は完全に解消します。

11月21日に大阪維新の会の新代表に就任した吉村大阪府知事は、自分が在任時にはもう住民投票は行わないと明言しています。これを受けて自民党大阪府連や政令指定都市自民党議員達は、特別自治市設置の法律制定を求めていく活動を始めるようです。

管理人の思うところは府市一体条例と総合区制度を導入し、5年後くらい先に特別自治市設置法を立法し、その後に「大阪都構想」と「大阪特別自治市」を争点とした、大阪府知事大阪市長統一地方選挙を実施して欲しいと思います。今回2020年11月1日に行われた特別区設置住民投票は、大阪都構想の対案がなく大変残念でした。


都市の成長鈍化・住民の高齢化・インフラの老朽化などの問題に直面する現代と、膨張する都市の自治権獲得であった戦前の大都市問題とは、その目的は質的に変わってきています。特別市運動時代は成長を心配する必要はなく、膨張する都市行政をどうするかがテーマでしたが、これからの将来は縮小する都市についてどうするのかを考えなければならないと感じています。