ぼちぼちと都市に暮らす

住んでいる大阪の街についていろいろとかんがえてみる。

大都市法停止の新法案って意味があるの

またまた大阪での政治状況で、突拍子もない動きが出てきました。12月12日付けの毎日新聞の記事には「自民大阪府連が「大都市法」停止の新法案提出へ調整 特別区設置を制限」とあります。

自民党大阪府連が大阪都構想の根拠法になった大都市地域特別区設置法の効力を一時停止させる新法案を2021年の通常国会に提出を目論んでいるとのことです。

なぜ廃止ではなく「停止」なんでしょう?

管理人が個人的に思うのは菅総理の関係だと睨んでいます。当時自民党内でリーダーとして大都市法の取りまとめを行ったのは現在の菅総理です。廃止では官邸に一蹴されると考えたのではないかと思います。

法律の停止とは法律自体は残しておくが、効力を一定期間停止し、その効力が全然働かない状態にしておくことです。大都市法停止のための理由が2度の住民投票により「市民が分断された」というもの。

市民どころか国民を分断することが予想される、憲法改正を党綱領に掲げる自民党の議員が、このような見識で良いのかと同時に、レベルが低すぎるとしか言いようがありません。なぜなら、あまりにも自分たちの思惑が露骨で、大都市問題に対する解消から逃げているに過ぎるからです。こんな狭量で姑息な人たちが、大阪の政治に関わっているのかと思うと情けなくなってきます。

なぜ2度目の住民投票が行われたのでしょう。それは自民党大阪が自信を持って条例化提案し実現した、「大阪戦略調整会議」即ち大阪会議が、あまりにも杜撰で無残な結果に終わったことによるものです。

「話し合いで二重行政は解消できる」と言い切った府連幹事長の言葉とは裏腹に、肝心の大阪会議で紛糾し話し合いでは解決出来ないことを、逆に証明してしまったという大失敗の出来事でした。

記事には『同じテーマで何度でも住民投票を繰り返せる「勝つまでじゃんけん」を問題視した府連は11月以降、国会議員や大阪市議が同法の問題点を話し合う勉強会を国会内で重ねてきた』とあります。

なぜ2015年に不成立だった大阪都構想住民投票が、5年後に再度行われたのか、その原因から完全に逃げる行為に大阪の議員としての自覚と責任感はないのでしょうか。

今回の動きの裏には、特別自治市を設置する法律の困難さがあるのではないかと推測します。横浜市を筆頭に特別自治市の実現を目指す動きもありますが、地方制度調査会でも否定的な意見が多く、法律制定への道筋は見えません。大阪市を筆頭にした過去の特別市運動の頓挫が、その難しさを物語っているし、その妥協案として政令指定都市制度が作られた事実をもっと重く考えるべきでしょう。

なぜ大阪都構想の必要性が求められ、過去から府市あわせの解消が叫ばれてきたのか。それは二重行政問題と政令市が持つ基礎自治力の弱さがあるからです。基礎自治については別の機会に取り上げたいと思いますが、少なくとも自民党大阪府連には大都市問題を解決する知見も能力もなさそうです。なぜ前向きな考え方と議論につながらないのか非常に残念ですが、このようなレベルの国会議員たちが、道州制に言及するのは滑稽としか言いようがありません。

この記事を見て改めて思うことは、「地方のことは地方がやる」。つまり道州制を早く導入して、国会議員は国政レベルの問題に取り組み、地方のことは地方の州で考える体制にするべきでしょう。