ぼちぼちと都市に暮らす

住んでいる大阪の街についていろいろとかんがえてみる。

新型コロナウイルスによる医療崩壊と自民党政治

昨日12月24日には東京都の感染者数が888人と、過去最大の感染者数を記録しました。全国の感染者数が過去最大と報道されるのが、毎日の日課のような状態になっています。

そのような中で、竹本前IT担当大臣が新型コロナウイルスに感染し入院しました。先日この前大臣の後援会が、80人規模の忘年会を大阪市内のホテルで開催し、マスコミから非難されたところでした。その前には自民党二階幹事長が開いた食事会に8人参加し、菅総理も出席して大批判を浴びました。国民に外出自粛と会食をやめろと言いながら、与党国会議員のこの緊張のなさと無責任さには呆れるとともに怒りを感じます。

ネットの言論プラットフォーム「アゴラ」で池田信夫氏が日本は民間病院が8割で、公的医療機関は2割しかなく、コロナウイルス感染者の受け入れをしないと書かれていました。EUなどでは50%以上が公的医療機関らしいです。

日本の場合は戦後の復興で医療体制を早く作るために、民間医療機関を増やしたらしいです。これが今回の医療崩壊の大きな要因になっているとの池田氏の指摘です。どういうことかと言えば、医療法では民間医療機関に指定感染症者の受け入れを、強制できないらしいのです。公的医療機関にも命令は出来ないが、立場上受け入れざるを得ません。そこで受け入れ病院に患者が集中し、医師も看護士も足りず医療崩壊の危機が叫ばれるという構図です。

感染者数の多い海外の国に比べて、日本の感染者数は1/40らしいですが、日本は人口あたりの病床数が世界一多く、ICUの数も非常に多いと聞きます。感染者数が少なくて、集中治療室も病床数も多くて、なぜ医療崩壊するのでしょうか。

昨日の関テレニュースで大阪府からの病床増床に対して医療団体の代表が「絶対反対」との発言もあり「”病床確保”…吉村知事が訴えるも『医療機関から厳しい声』」という記事が出ていました。大阪府では軽症・中等症病床約1200床のうち76%ほどが埋まっていて、公立病院では9割が患者を受け入れていますが、民間病院では1割に留まっていると書かれています。

そこで大阪府の対策会議で民間医療機関に受け入れを依頼したところ、私立病院協会の会長が「絶対反対」と言及しました。吉村知事は「やらないという判断ではなく、やるという判断をお願いしたい」と懇願していますが拒否の姿勢を崩していません。TVでは医師会の団体が医療崩壊の危機を訴え、国民に外出自粛や会食をやめろと要請していますが、自分たちのやるべきことは、もっとコロナ感染者の受け入れではないのでしょうか?

池田氏も民間医療機関は受け入れを増やすべきだと指摘しますが、反面でそれは難しいだろうとの見方です。その理由は医師会が自民党に対して、非常に強い力を持っているからだと言います。医師会は自民党の大きな支援団体で、巨額の寄付を行っています。医療法を改正して、民間医療機関にも受け入れ命令を出せるようにするべきですが、医師会に拒否されて不可能だろうというなら、今回の医療崩壊危機は自民党政治による不作為が招いた茶番劇としか言いようがありません。

先般に菅総理がGoToトラベルの一時停止を宣言し、自民党内部から強い批判があったという記事を見ました。専門家会議が停止を要求して菅総理が実行したのに、党内から強い批判が出るのは、観光旅行業界の族議員が強い力を持っているからでしょう。二階幹事長などは観光議連の会長らしいです。

経済対策を打てば感染拡大すると医師会からは拒否され、経済対策をやめれば経済界や族議員が反対するという板挟みに、最大の被害者はコロナ感染に晒されている国民です。

これは菅総理の問題ではなく、自民党という政治組織そのものの本質です。アベノミクスで無節操なばら撒きを行い、国民の人気を得てきましたが、コロナ危機に対しては安倍前総理も菅総理も国民の期待に応えることは出来ませんでした。その理由は明確で、自民党の金権体質が最大の理由です。数ヶ月前にはIR関連で中国企業から賄賂を受けていた秋議員、選挙違反で裁判中の河合夫妻、先日には鶏卵業者から賄賂を受け取っていた吉川元農林大臣など、もう呆れるとしか言いようがありません。

支援業界団体の利害関係により、医療崩壊と経済崩壊の危機を招いているのにも関わらず、政府の国会議員たちは会食している無自覚さと無責任さは末期的です。

TVではPCR検査数をもっと増やせとか、鎖国しろとか無責に放送していますが、本当に指摘しなければならないことは、医療資源を柔軟に効率的に運用できない日本の医療行政だと思います。コロナウイルスと同程度の年間死者数をもたらす季節性インフルエンザで、医師会や医療機関が崩壊危機に瀕したことがあるでしょうか。感染しても8割は無症状または軽症であり、本当に必要なことは重傷者への対応拡大でしょう。そのためには日本国内の医療資源の効率的な運用が不可欠です。

特措法の改正も上がっていますが、営業自粛を強制化するとか、保証金をつけるなど今頃です。大阪府の吉村知事は二次救急の医療機関110の病院に対して、新たに病床の確保を要請する方針を決めました。国に財政支援を求めていますが、国が応じない場合は大阪府単独でも受け入れ医療機関への財政支援を行うようです。財政支援を行うなら、まずは感染者を受け入れる医療機関に対してでしょう。

日本で医療機関が崩壊寸前と言われますが、すでに崩壊しているのは国の政治であり、その被害者である国民に責任を被せるという責任転嫁は、もはやコロナウイルスの悲劇としか言いようがありません。