ぼちぼちと都市に暮らす

住んでいる大阪の街についていろいろとかんがえてみる。

東京と大阪のコロナウイルス感染拡大と知事への共感性

晦日に東京都ではコロナウイルスの新規感染者数が1300人以上と、初めて1日の感染者数が千人を超えました。大阪は11月22日の409人がピークでしたが、その後は300人前後で高止まりしている状態です。東京都は11月前半くらいから増加に転じて、未だに右肩上がりの状況です。今日1月2日にNHK記事では「東京 埼玉 千葉 神奈川 政府に「緊急事態宣言」発出検討を要請」1都3県に緊急事態宣言を発令するように政府に要請をしました。

大阪も感染が収束した訳でもなく重傷者も増加していますが、どうして東京と大阪で感染の傾向が違うのか。地域的な違いや人口も当然あるのでしょうが、管理人自身のまったく明確なエビデンスはなく単なる感想ですが、東京と大阪における知事への共感性が住民行動に影響しているのではないかと思いました。

ツイッターを見ていると吉村知事へは賛同が7~8割、批判が2~3割なようです。小池知事は比較的批判が多く賛同が4割くらいで批判が6割くらいでしょうか。もちろん小池知事が何もしていないことはないのですが、やたらとカタカナを多用し言葉遊びに感じる点や、政府との不協和音がマイナスしているのではないかと感じます。

昔の専制政治の時代なら、為政者の命令で外出禁止もかけられ、中国ならたやすく制限を課せるでしょう。しかし、民主主義国においては、法律以外に制限をかけることはできず、住民の自主性が大きく影響することになります。この点において住民の知事への信頼性と共感性が、住民の行動に影響を及ぼし、大阪と東京の感染拡大に現れているのではないかと思った次第です。

2020年12月29日の朝日新聞に「コロナ対応、評価トップは吉村知事 理由は丁寧な姿勢?」という記事がありました。その中で『地元知事の評価は地域差が大きく出た。「評価する」は大阪で83%、北海道も8割と高く、東京は52%と全国平均並み。首都圏の神奈川36%、埼玉35%、千葉22%は低めだった。愛知は33%、福岡では6割が「評価する」と答えた』と吉村知事への評価は大阪では8割以上と非常に高い支持を得ています。

吉村知事は先進的に取り組みを実施しており、
・全国に先駆けた「大阪府入院フォローアップセンター」設置
・デリバリーサービスを活用した外出の自粛促進
新型コロナウイルス感染症LINE相談窓口
・「新型コロナウイルス助け合い基金」創設
・「大阪府新型コロナ警戒信号」のライトアップ
新型コロナウイルス重症患者用の臨時施設「大阪コロナ重症センター」設置
これ以外にも政府への提言や法的不備への苦言なども積極的に行っています。やはり政治の信頼性が危機の時に大きく影響するのではないかと思います。

もう一つ大阪と東京の違いは、重症化の基準が違う点が影響していると感じています。昨年の8月18日のNHKには『重症者数が増加傾向 大阪は東京の2倍以上 「基準」に違いも』という記事があり、重症化が大阪は東京の2倍ですが重症化の基準が大きく異なっています。

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2020年8月18日NHK記事より

コロナウイルスの感染者の8割は無症状か軽症と言われています。もっとも重要な対策はもちろん感染を抑制することですが、無症状者からの感染が拡大している状況ではクラスター潰しも難しく、追跡調査も機能しません。この状況で最優先することは重症化対策が非常に重要です。

ところが東京都は重傷者の基準が甘く、当然に重傷者数も大阪より低くなっています。これが住民への危機感を低下させてる原因になっていないのか。大阪は国の基準に従って重傷者を判定していますが、東京都は国の基準には従っていません。1月2日の時点で東京都の重傷者数は94人ですが、国の基準を採用すると重傷者は300人を超えるという指摘もあります。

なぜ東京都が独自基準にこだわるのか分かりませんが、東京オリンピックを実施したいために危機感を抑え基準を甘くしたのかもしれません。しかし、この基準が住民の危機感を薄くさせて、結果的に今日の感染拡大の増加に影響を与えているように思います。

コロナウイルス対策はアクセルとブレーキの踏みどころが非常に難しいのですが、それをコントロールする知事というドライバーの技量の違いが、大きく現れたのかもしれません。この点は政府も同様で、有効な対策を打てずに菅政権の支持率は大幅に低下しています。今回の新型コロナウイルスは、社会に様々な影響と問題をもたらせましたが、大都市における感染症は、新たな都市問題を再確認させることになりました。

今年は衆議院選挙の年なので、最大の政治的焦点は解散総選挙ですが、これについて思うところは後日書いてみたいと思います。