ぼちぼちと都市に暮らす

住んでいる大阪の街についていろいろとかんがえてみる。

既得権を温存させてしまった大阪市民の大きな過失

2020年11月1日投票の大阪都構想住民投票ですが、今日1月13日に産経新聞より「都構想コスト増試算は捨て身のクーデター説」という記事が出ました。内容を引用しながらこの事件を再度振り返ってみます。

記事の冒頭には「既得権益を死守しようとする「中之島一家」の影がちらついた」と、大阪市役所に長年温存する大きな既得権の存在を示唆しています。産経新聞大阪市に情報開示請求して、一連の資料を入手しているようです。

まず主犯である財政局の前財政課長と、毎日新聞記者との親密さが紹介されており、非常に親密なやり取りをしていたことが分かります。

前財政局課長は当初は、投票妨害ではなく意図的ではない、あくまでも過失だと責任を回避していました。ところが、後に自分たちに不都合な公文書を、秘密裏に破棄していたことが明るみになります。

破棄した理由について産経の記事には『市の聴取に対し、上司2人に廃棄を持ちかけた前税制課長は「(記事が毎日との)共作と思われるのではないかとの恐怖心に駆られた」と説明したという。』という極めて無責任な説明がされています。

なぜなら、個人で同じ資料を入手した方の情報を見ると、共作を疑われるどころか、この前財政課長がマスコミを主導していたのです。

大阪市はこの3名を、呆れるくらい軽微な懲戒処分にしましたが、その説明は信じられない他人事です。『市人事室は理論上の数値でしかない試算を報道機関に提供し、「市民に誤解と混乱を生じさせた」と判断。「(都構想が目指す)特別区に移行した場合のコストの問題と受け止めた人がおり、(投票行動に)影響があった」との認識を示した。』

「投票行動に影響があった」で済む話なのでしょうか?

もしこれが憲法改正国民投票であったなら、政府や自民党は投票行動に影響があったで済ませるのでしょうか。

続いて「エリート集団の策謀」として、「大阪市役所の所在地にちなみ「中之島一家」と呼ばれた強固な体制の影を見たとの声もある。」と事件の原因を挙げています。

そして「行政当局と市議会の与党会派、職員労働組合が三位一体で市長を担ぎ、市政を長年にわたり掌握。こうした体制による恩恵を既得権とみなし、最終的に都構想に行き着く行政改革を掲げてきたのが維新だった。」と中之島一家とい既得権の存在を紹介しています。

処分された3名は何十年も財政局所属だったようで、一般の企業では考えられないような人事の固定化です。これでは様々な利害関係が構築され、市民優先ではなく、組織の利害が優先される構造に陥ることは当然と言えます。

続いて記事には、『都構想可決で大阪市が廃止されれば、予算規模は縮小し、権限も「中核市並み」にとどまるはずだった。市役所の一部では一連の問題について、強大な権限を手放したくないがための、捨て身のクーデターだったとの見方も出た。』と疑いを紹介していますが、毎日新聞がスクープとした218億円記事が出た、10月26日以前には自民党の市議員や共産党の市議員も、この捏造数字の存在を知っていた模様です。

 

大阪市は過去に様々な不祥事を多発し、市民に課題な負債を負わせてきました。その根源が残存され、結果に対する認識も甚だしく甘いとしか言わざるを得ません。大阪府大阪市は、広域一元化条例と大阪市は総合区条例を2月の各議会に提案するようですが、どれだけ効力があるのかは分かりません。法律と違い条例だと議会で廃止することも難しくないと思います。

2度の住民投票の失敗で、公明党大阪維新に対する姿勢も変わっているでしょうから、条例案がすんなりと可決するのかも分かりません。捏造によって投票行動が大きく歪めれられたとはいえ、大阪市の強固な既得権が温存されたことは、市民にとって将来の大きな禍根となるのではないかと改めて危惧します。

先般京都市が財政危機で数年後には、財政再建団体になるという報道がありました。大阪市も過去に同様な財政危機があり、行財政改革によって財政債権を行いましたが、中之島一家が最大の力を持っていたのも、過去からこの時期くらいまでです。

京都市中之島一家が存在するのかは不明ですが、過去に東京市大阪市京都市は三市特例に指定され,、東京市は廃止されましたが、大阪市京都市という歴史的な都市が、どうして同じように財政危機に陥るのでしょうか。詳しい理由は分かりませんが、管理人の個人的な見方は、広域行政と基礎自治を内包するという曖昧さではないかと考えています。

巨額の予算と広域権限がなければ、中之島一家のような強固な既得権組織は生じなかったと思います。住民サービスのために地下鉄等の様々な広域行政施策の裏には、天下り団体や既得権団体と密着し、税金を浪費する体質に陥りやすいのでしょう。お金が無ければ既得権も生まれないし、温存もできません。

やはり広域と基礎自治の分離は、成功させるべきだったと悔やまれます。