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医療崩壊と医師会、菅総理の国民皆保険の発言について

菅総理が13日の記者会見で「国民皆保険、そして多くのみなさんが、その診察を受けられる今の仕組みを続けていくなかで、コロナがあって、そうしたことも含めてもう一度検証していく必要があると思っている。必要であれば、そこは改正をするというのは当然のことだと思う」という発言が波紋を呼んでいます。

慌てた加藤官房長官は否定し、自民党議員からは、「国民皆保険に触れたのは、大きな誤解を生むことになった。これは本当にやばいです」と火消しに必死なようです。

なぜ国民皆保険発言がこれほど大きな波紋を呼ぶかというと、国民皆保険こそ医師と医師会にとっての既得権益で、自民党議員の多くは逆らえない、敵に回せない組織だからです。

菅総理の発言が説明不足なのは明らかですが、この発言はコロナウイルスでの重症化率が激増しているにもかかわらず、大した努力もせず危機を煽る医師会に対しての警鐘ではないかと思います。

BLOOGOSで青山まさゆき氏も同様の指摘をしています。

つい飛び出した菅総理の本音 (blogos.com)

ブログの中で青山氏は「民間病院が協力してくれないなら、あるいは今の医療体制に問題あるなら国民皆保険とかのまさに根本にまで踏み込んで医療体制を検証して見直すよ、という菅総理のものすごい恫喝だったのではないか?」と推測しています。

さらに『ここで総理が口走った「国民皆保険制度の検証」は、実は医師会にとって、とてつもないインパクトのある言葉。開業医の方が、経験の差、腕の良し悪し、説明の丁寧さ、設備の有無など、医療機関同士の間での競争要因が結構あるにも関わらず、無競争で、今の厳しい競争社会から切り離された聖域のような状態で均一に高所得を得ている秘訣は、実は国民皆保険制度』と医師会と国民皆保険制度の本質に切り込んでいます。

冒頭の自民党議員の火消しとは、簡単に言えば医師会に逆らうことは、自民党議員の地位を危うくするという意味です。医師会が自民党に対してどれほど巨額の寄付を行っているか。そして選挙での支援を行っているかを考えれば、自民党議員が狼狽するのは当然です。

管理人は以前にある地域医師会内部の連絡名簿を見たことがありますが、その中には「選挙対策」というポジションがあるのです。医師会は国民皆保険と診療報酬という既得権に守られ、政治家はその対価として集票をしているということです。

菅総理の発言は既得権を甘受しながら、医療崩壊に協力をしない医師会への不満やクレームという意味があったのではないでしょうか。日本医師会の役員名簿を見れば、殆どは民間医療機関の経営者です。

コロナウイルス指定病院の最前線で働いている医師はすべて勤務医です。勤務医が重度の医療を担っていて、ハイリスク・ローリターンに対し、症状の軽い患者を診察し、ローリスク・ハイリターンなのが開業医です。このような不平等が実施される仕組みこそ、国民皆保険という制度です。さらに、診療報酬というカルテルのような仕組みは、技術やサービスの優劣が機能せず、優れた治療も下手な治療も報酬は同じという不平等な仕組みです。

医療法人社団KNIの北原茂実理事長は「国民皆保険GHQが戦後日本の医療を先進国に近づけるために導入した発展途上国型の実験的システム」とまで言っています。つまり先進国の医療制度ではないということです。

今回の新型コロナウイルスは、日本の医療制度そのものの問題もあらわにしました。国民皆保険をWeb検索すると、医師会などの称賛の嵐です。混合診療に大反対するのも、診療報酬という、社会主義的な制度を死守せんがためなのでしょう。このような背景があることが、大阪府の吉村知事による「医療界も有事への切り替えを」という、病床確保要請の発言につながっていると思います。

感染者や死者数が欧米の数十分の1という日本で、医療崩壊が起きるのは自民党厚労省と医師会というトライアングルの結果なのでしょう。