ぼちぼちと都市に暮らす

住んでいる大阪の街についていろいろとかんがえてみる。

総合区案の2月議会提出先送り

今日2月3日付けの日経新聞に、『大阪市「総合区」案、2月議会提出見送りへ』と記事が報道されました。1月29日の記事で『大阪市の「総合区」条例案 年度内採決見送り検討」』報道されていましたので、2月議会への提案はなくなったようです。理由は公明党に配慮してとのことで、公明党大阪の議員や支持者の一部には反対があるとのことです。

そもそも8区の総合区案は吉村市長時代に公明党が提案し、副首都推進局が総合区案を作りました。29年8月の第2回大都市制度(特別区設置)協議会で、具体的内容の説明がされましたが、特別区設置を目指すために取り下げられた経緯があります。

であるのに今回は総合区に反対するとは、公明党大阪の都市内分権に対する熱意はその程度のものなのでしょうか。住民投票により特別区設置が否決されたから、大阪市の区における自治力向上は、もう必要ないというなら極めて政局だけだったことになります。

総合区案の提出は先送りされましたが、その代わりに府市一元化条例はほぼ成立するでしょう。日経新聞の記事にも、その駆け引きが書かれています。公明党大阪としては今年中に行われる衆議院選挙を考慮せざるを得ませんし、大阪維新側としても総合区よりも万博や統合型リゾートなど、大阪の成長政策を優先するのだと思います。

個人的には総合区にはあまり魅力を感じません。区長が公選される訳でも、区長の予算立案権限がある訳でもなので、自治権というよりも行政区のリストラというイメージのほうが強いです。

結局は大阪市議会で過半数を持たない大阪維新側が、公明党に配慮して折れたというこですが、これも民主主義だから仕方がありません。もし本音では府市一元化条例を優先し、総合区案をその駆け引き材料としたならば、松井市長の政治交渉術はなかなかのものだと思います。

一元化条例は2月議会で可決するでしょうが、総合区条例案は5月議会に再度提出を試みるのか、それとも9月議会頃になるのかどうなるのでしょう。府市一元化条例が成立すれば、広域行政と指定都市の関係に新たな一歩が加わります。これが他の指定都市に大きな影響を及ぼすかといえば、大阪市以外の他の指定都市が導入することはないと思います。

府市一元化条例も知事と政令市長が同一地域政党で、かつ議会で過半数または第一党であるから可能な訳で、他の政令市長が自らの権限を制限することに賛成するとは到底考えられませんし、それよりも特別自治市を目指すでしょう。今回の取り組みが指定都市制度に影響を与え、広域行政と指定都市の二重行政問題の解消と、自治制度見直しにつながれば面白いです。

 

余談ですが非常事態宣言中に銀座のクラブで飲食していた、3名の自民党議員が離党しました。そのうちの一人は自民党大阪府連会長の大塚高司衆議院議員です。昨日も管理人の知り合いの和食店が、近々店を引き払って大阪市街へ移転するとのことでした。非常事態宣言発令からはめっきりと客足が遠のいたとのことで、多くの国民が我慢し事業者が困窮している中で、国会議員たちはのうのうと銀座で豪遊とは心底呆れてしまいます。

こんな無責任な者たちに大阪都構想が潰されたのかと思うと情けなくなります。自民党大阪からは、新たな成長政策も都市政策も提案はなく、菅総理に変わってからの政権与党を持ていると昔の派閥政治が復活しているなと感じます。これが本来の自民党の姿であって、安倍政権の8年間は非常に異例だったのかもしれないですね。