ぼちぼちと都市に暮らす

住んでいる大阪の街についていろいろとかんがえてみる。

毎日新聞の218億円報道

11月1日に実施された大阪市住民投票ですが、大変残念な問題がありました。

それは住民投票日の6日前、10月26日に毎日新聞により「大阪市4分割ならコスト218億円増 都構想実現で特別区の収支悪化も 市試算」という記事が報道されたことです。毎日新聞に続き朝日新聞NHK218億円増加するという報道が行われました。

副首都推進局における財政シミュレーションでは、初期費用が241億円、ランニングコストが年間30億円と公表されていました。

30億円から218億円ですから188億円の開きがあります。住民投票で最も大きな問題になったのが、特別区移行の費用です。今回は前回と異なり新庁舎を建設しないなど、初期コストを大幅に圧縮しており問題となったのは毎年のランニングコストの方です

この報道が大阪市有権者に与えた影響が大きかったことは間違いありません。何故かというとJX通信社とABCテレビの共同ポータルサイトが、毎週世論調査を行いウェブサイトにアップしていました。

9月20日からスタートしてから賛成が反対を上回り推移していました。ところが10月26日の毎日新聞の記事が報道された最後の10月30・31日の調査では、反対が賛成を逆転して未定・不明が大幅に減少しています。

 

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ABCテレビ×JX通信社


大阪都構想住民投票 世論調査データ&解説ポータル
反対の回答率は41.2ポイントから46.6ポイントと5.4ポイントの大幅増加し、未定・不明の回答率は11.9ポイントから8.4ポイントと-3.5ポイント減っています。賛成も46.9から45と-1.9ポイント減り、未定と賛成のマイナス分が反対に回ったことを数字は明確に示しています。未定・不明の反対増加は顕著に現れています。

大阪市選挙管理委員会の最終投票結果は、賛成が675,829票、反対が692,996票でその差17,167票です。毎日新聞の報道により反対増加は5.4ポイントなので、単純に総投票数の5.4%では73,917票が動いた計算になります。218億円報道により7万票近くが変動したと考えても良いのではないでしょうか。

大阪市地方交付税交付団体なので毎年政府より交付金を得ています。この交付金の算定試算が「基準財政需要額-基準財政収入額」、つまり必要となる予算試算から収入見込を差し引いたものが交付金の目安となります。この記事で問題になったのが「基準財政需要額」でした。

副首都推進局が年間30億円のランニング費用が発生するが、財政シミュレーションによれば収支マイナス、つまり赤字にならないと試算しています。ところが毎日新聞の報道内容を見ると毎年218億円必要となり、自民党などが主張する住民サービスの低下を不安に思った市民は少なくないでしょう。自民党大阪府連の議員も毎日新聞の記事を引用し、市民の不安を増幅させていました。

ところが驚くことに10月30日に大阪市財政局長が緊急会見を開いて、「誤った考えに基づいた試算だった」と撤回する異例な展開となり、産経新聞が『⼤阪市財政局試算、「虚偽」謝罪で波紋 』と報道しています。

いったい何があったのでしょうか?

 

橋下元大阪市長はクーデターだと断じました。
https://twitter.com/hashimoto_lo/status/1321794113532911617?s=20

 

毎日新聞は10月29日の記事で「大阪市4分割コスト試算「捏造」 市財政局 2日で一変、謝罪 市長面談後」と松井市長からの圧力があったような報道をしていますが、財政局長は全面的に非を認めて謝罪しています。

この問題はさらに展開していきますが、続きは次回のブログで。