ぼちぼちと都市に暮らす

住んでいる大阪の街についていろいろとかんがえてみる。

府市一元化条例の反対意見を読んで

大阪府大阪市の広域一元化条例が具体的になってきたので、各所からいろいろと反対の意見が出てきています。いくつか読んでみる中で、元大阪府知事の反対意見に興味を持ちました。

総論としては、

・指定都市の権限を府に移譲することは住民投票の結果に反する

・府市の連携と府市一体化は似て非なるものである

・府市一体化は自主性・自立性を失わせる

賛否については個々人の考えがあるので、自由だと思いますが、管理人が個人的に感じた点を以下に記します。

まず初めに感じたとこは、行政視点の意見だと思いました。都市計画決定の権限を失うことは「自治権の喪失」と指摘しています。確かに自治権限の一部を大阪府に移譲する訳ですから、権限の喪失にはなりますが、まずここに引っかかりました。

それは「行政は誰のためにあるのか?」という点です。一元化条例に強く反対する方の考えは当然ありますが、管理人個人にとっては、役人や役所の権限には興味がありません。大阪府民であり大阪市民として願うことは、府と市が協力して、大阪を良くするということです。広域行政が強化され、大阪という都市が大きく成長すること、そして住民生活が豊かで便利になることこそ期待する点です。

この反対意見の中では、「大阪市は府が決定した計画を実施する実行部隊に成り下がることになる。きわめて屈辱的なことではないか」とまで言い切っています。

ここに役人たちの権力争いの原点を見る気がします。大阪府大阪市は過去60年以上に渡り、権限争いというべき「府市あわせ」を続けてきました。その中で無駄な数々の二重行政が生まれ、大阪府民や大阪市民にとって大きな不利益をもたらせてきたのです。率直な感想として役人同士の権限争いなど、まったく関心はありません。

もちろん何でも大阪市の権限を制限して、大阪府に一元化すれば良いとも思いませんが、大阪の成長戦略に関する部分については、権限の優先位をつけることは仕方がないのではないでしょうか。

元副知事の反対意見を読んでいると、なぜ「府市あわせ」が起きるのか改めて実感しました。

冒頭で「住民投票で示された結果に反する」と断定していますが、この点も違和感を感じざるを得ません。住民投票大阪府全域で実施され、その上で不成立だったのならば、そのとおりだと思うのですが、住民投票の争点は大阪市を廃止するか否かです。住民投票の結果を拡大解釈し過ぎているのではないかと思います。もし道州制が実現して、広域行政権限が州に一元化される場合も、自主権限を失うと反対するのでしょうか。特に道州制に言及している大阪の自民党議員は、どのように整理するのか興味があります。

個人的には大阪市を存続させるという市民の判断であるならば、注力すべきは大阪市の基礎自治力の向上こそ、住民意思に応えることだと思います。今の府市一元化や総合区に反対する政治家たちは、果たしてどれほど大阪市内部における民主主義の向上に関心を持っているのでしょうか。

大阪市とは対象的に東京の特別区は、自治権を獲得するために長年苦労してきました。何十年という時間をかけて、基礎自治体としての自主権限を取り戻してきたのです。大阪市の市議たちは区民の自治権について、どれほど関心を持っているのでしょうか。東京都特別区自治権運動については、また別の機会に書いてみます。