ぼちぼちと都市に暮らす

住んでいる大阪の街についていろいろとかんがえてみる。

大都市問題と総合区

大都市問題、特に政令指定都市において問題視されているのは、府県と政令市の二重行政と基礎自治力の弱さです。

基礎自治が弱いとはどういうことかと言えば、政令市の「区」は行政区で、法人格を持たず公選区長でもないということです。区長は存在しますが、あくまでも政令市長が任命する役人であり、予算権も持たない職員で市長のような特別職ではないということです。

行政区長の裁量範囲もありますが、独自予算も非常に少なく区民の要望に十分応えているとは言い難いと思います。基礎自治は住民に近いところで処理することが良いとされており、政令市ではニイズベターが実現しにくい制度と言えます。

そこで近年は都市内分権が叫ばれるようになり、政令市では区の権限を強くする方法が議論されて来ました。東京都では特別区から市を目指すところや、特別区の権限を強くする声が高まっています。法律改正が可能化は分かりませんが、もし政令市内の区を強化し、基礎自治権限と財源を全て分権してしまえば、政令市に残るのは広域行政になってしまい、もう府県との二重行政しか残らなくなるかもしれません(笑)

そのような中で地方制度調査会では政令市の基礎自治強化として議論されました。2014年に地方自治法が改正され総合区制度が制度化されました。ただ公選区長も法人格もないため、完全な基礎自治体ではなく、法人区と行政区の中間的なものと言えましょう。

【総合区の特徴】
総合区の中に出張所を置くことができる
総合区長を置く
総合区長は市長が議会の同意を得て選任する
総合区長は出張所の職員の任命と免職を市長の同意でできる
予算について市長へ意見を言える
総合区に選挙管理委員会を置く


大阪市における総合区は、大都市制度(特別区設置)協議会での平成29年8月29日の資料で24区を合区し8区の総合区を設置する案が議論されるようです。

その1年前くらいに第4回副首都推進本部会議において3つの案が示されています。

f:id:fuku290:20201124232417j:plain

出典:第4回副首都推進本部会議 資料5

来年の2月議会に提案するということですから、時間的に考えれば法定協議会に提出された8区案でしょう。ただ、5区案の中核市並という権限も魅力を感じるので、できればもう少し区割りの再設計を議論してから条例提案をしてほしいところです。

総合区では区長が市長に予算についての意見を言うことができるので、市長や中之島に対して一定の圧力になるかもしれません。総合区長の予算意見をおろそかにするような市長であるならば、次の市長選挙にマイナス評価を受けるかもしれません。

自民党は従来24区を総合区にする提案をしていたので、8区案には反対なようです。しかし、何のために24もの総合区を作るのか理解に苦しみます。共産党はとにかく反対なので、ことごとく反対するでしょう。大阪維新公明党が賛成の立場なので、維新と公明で議会決議すれば総合区設置は決まるのですが、はてさてどうなるのでしょうか?