ぼちぼちと都市に暮らす

住んでいる大阪の街についていろいろとかんがえてみる。

府市あわせはどこでも、いつまでも

2020年12月8日の朝日新聞に「名古屋市のコロナ病床ピンチ 医師ら足りず…知事は苦言」という記事が出ていました。

コロナウイルスの専用病床が逼迫している名古屋市に対して、大村愛知県知事が努力が足りないと批判しました。名古屋市は180床の専用病床を確保していますが、6日の時点で170床が使用され限界が近づいています。

大阪でも医療スタッフの問題が大きく影響していますが、名古屋市も同様に医師と看護士が不足しているようです。専門家によれば無理やり増やせば一般医療が制限されると危惧があります。

コロナウイルスの感染拡大で、医療体制が逼迫している都市はいくつもありますが、大阪府大阪市ではこのような対立は起きていません。大阪府の吉村知事と大阪市の松井市長は、同じ大阪維新の会の所属議員で、松井市長はコロナ対策を吉村知事と大阪府に一元化しているので対立は起きません。

対して大村知事と河村市長は最近は対立が、非常に激しくなっています。河村市長は2009年に名古屋市長になり、大村知事は2011年に愛知県知事に当選しています。この2人ですが、初めはとても仲がよかったのですが、最近では激しく対立するようになっています。とくに昨年の『あいちトリエンナーレ2019「表現の不自由展・その後」』では、名古屋市が負担金を支払わないことで訴訟になったり、高須クリニックの高須氏が大村知事のリコール運動を展開し、河村市長も一緒に行動するなど反大村姿勢は激しくなっています。大阪でも長年にわたり見た光景ですが、近年では橋下大阪知事と平松大阪市長が対立していました。

なぜこのような対立が起きるかと言えば、政令市が道府県を同じような権限を持っていることに起因するといっても誤りではないでしょう。感情的な対立があったとしても、制度で権限の上下がはっきりしていれば従わざるをえません。ところが強制力がなければお願いしか出来ないことになります。コロナウイルスの自粛要請と同じで法的な強制力がないので、お願いしかできないのと同じです。もし大阪が以前のように大阪府知事大阪市長が対立し、府市の協力体制が取れないならば、考えただけでも恐ろしくなります。

コロナウルスにおいても、広域行政と政令指定都市の二重行政問題が、起きている事実は無視してはならないでしょう。コロナウイルス危機下で大阪府大阪市の対立が激しかったなら、特別区設置の住民投票は成立してたかもしれません。大坂維新の大阪府知事大阪市長が努力して、二重行政を解消すればするほど大阪都構想の必要性が希薄化し、自己矛盾に陥ってしまったのは本当に皮肉です。大都市と政令市の問題をちゃんと整理しないと、これからも二重行政による棄損はなくならないでしょう。

大阪府市一元化条例がどのような内容なのかわからないので、論評はできませんが、この条例に反対し「大阪市の権限を奪う、カネを奪う」と批判している政党はよく考えて見るべきです。二重行政が無駄なことは論ずるまでもありませんが、必要な施策でありながら、大阪府大阪市での議論がまとまらず放置されているということは、早く実現すれば府市民の利益につながるし、放置しているということは、その間にも税金は浪費されて続けている訳です。

府市一元化条例のような二重行政解消の政策に反対するのなら、反対する政党や議員は真面目に対案を出さないと単なる評論家と変わりません。評論や批判したいだけなら、さっさと議員を辞職して民間で評論家として活躍するべきでしょう。