ぼちぼちと都市に暮らす

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新型コロナウイルスと逼迫する病床数と指定感染症対策法

今日12月12日のNHK記事には『新型コロナ 病床ひっ迫「ステージ4」5都道府県で指標超える』と警鐘を告げています。大阪も11日の時点で重症患者用病床188床、患者が155人となり「病床運用率」は82.4%になっているようです。軽症・中等症患者用は65%、無症状者の宿泊療養施設は40.9%となっています。

連日のマスコミの悲壮な報道ですが、管理人は新型インフルエンザ特措法が、かえって医療崩壊を招いているのではないかと強く感じます。細菌学や感染症学に知見はありませんから、まったくド素人的発想なのかもしれませんが、特措法こそ医療崩壊の要因ではないかと考えざるをえません。

その理由ですが、指定感染症は1類から5類に分類されており、1類がもっとも強毒性が強く5類は季節性インフルエンザや麻疹など弱毒性となっています。1類はエボラ出血熱等、2類は結核SARS鳥インフルエンザ、3類はコレラチフス等。新型コロナウイルスは2類以上で1類よりも厳しい措置が義務付けられています。

このように新型コロナウイルスは非常に厳しい措置が義務付けられており、2類相当に指定されると、感染者は指定医療機関に入院させなければなりません。必然的に感染者が出たらどんどん病床が埋まってしまいます。これではいくら医療資源があっても、逼迫するのは目に見えています。病床や機器は作れば比較的早く整うかもしれませんが、医師や看護士は簡単に増やすことはできません。また医療機関だけではなく、PCR検査の対応や追跡調査、政府への全数報告などにより、保健所の能力も麻痺状態になっています。GoToトラベルが全国へ感染拡大を招いたとの批判が強くなっていますが、経済ダメージも半端ではありません。

今回の新型コロナウイルスを冷静に季節性インフルエンザと比較してみれば、個人的には過剰すぎるのではないかと考えざるを得ません。

2020年12月12日現在で日本国内の感染者数(NHK)は、感染確認者数17万5207人、重症554人、死亡2554人、退院14万5014人となっています。死亡率は約1.5%、回復率は約83%です。

死亡者数を季節性インフルエンザと比較してみると、季節性インフルエンザでは2016~17年1463人、2017~18年2569人、2018~2019年3325人となっており、増加傾向にあるのは高齢者の増加ではないかと思います。ネット上では季節性インフルエンザの死亡率は0.01%~0.03%と低く、新型コロナウイルスはもっと高くて強毒性が強いという意見がありますが、重大な錯誤があり、季節性インフルエンザの感染者数は毎年1000万人以上なのです。対して新型コロナウイルスは今日現在での確認数が約17万人。インフルエンザと比較すれば感染者数は1/50しかありません。さらに見落としてはいけない点ですが、季節性インフルエンザにはワクチンも治療薬も用意されているにもかかわらず、ワクチンも治療薬もない新型コロナウイルスと死者数がそれほど変わらないことです。

治療薬候補アビガンの治験の際に医師が、8割くらいは治療薬を投与しなくても治ると言っていました。つまり殆どの人は無症状か軽症で終わっており、問題になっているのは重症化する場合です。

この9月に特措法の見直しが議論に上っていましたが、結局は大きな見直しは行われませんでした。指定感染症の5類に変更していれば、今回の医療崩壊寸前の状態は回避できたのではないかと考えざるをえません。マスコミは重症病床の逼迫のみ報道しますが、中症や軽症者への医療措置にも医療資源が使われるのですから、限られた医療スタッフが不足することなど目に見えています。

大阪府の吉村知事が第2波の際に重症化専用病棟設置を決断しましたが、この決断は非常に良かったと思います。本来は政府が冬場に向けて、重症化専用病床と重症化対策に注力するべきではなかったのか。指定感染症を5類に下げると感染拡大するという意見もあるでしょうが、実際に無症状者を把握すること自体が困難です。無症状者はそもそも検査自体を受けることがないし、無症状者がどれくらい感染力を持っているかも個人差で分からないでしょう。

政府の専門家委員は専門的立場から発言するのは仕方ありませんが、政治決断でせめて5類に改正しても良かったんじゃないだろうか。