ぼちぼちと都市に暮らす

住んでいる大阪の街についていろいろとかんがえてみる。

大阪府市の広域一元化条例の概要が発表されました

大阪府市の広域一元化条例が発表されましたが、昨日はそれ以外にもいろいろ動きがありました。

まず、住民投票前の218億円の捏造事件について、産経新聞によると、「大阪市幹部ら減給処分へ 都構想コスト増試算、公文書破棄」という記事です。「大阪都構想住民投票(11月1日)直前に「大阪市を4分割すると、218億円のコスト増になる」との試算を市財政局が報道機関に提供した問題で、大阪市が、住民投票に関する公文書を故意に破棄するなどした財政局幹部ら3人を減給の懲戒処分とすることが23日、市関係者への取材で分かった」とのことです。

処分内容が、それぞれ減給10分の1(3~6カ月)との発表ですが、正直「はぁ~?」ですね。重要な市民の選択である住民投票をぶち壊し、公職選挙法違反にも抵触するかもしれない暴挙に対して、この程度の処分は正直がっかりです。クーデターを実行した人たちに対して、この甘い処分はありえない内容で、本当に大阪市にはがっかりすることばかりです。これが民間企業ならばクビでしょう。残念としか言いようがありません。

次に同じく産経新聞には、「大阪、アジア代表するデリバティブ市場目指す 国際金融都市構想で官民が準備会」という記事です。

先のブログにも書いた通り、国際金融都市を目指すというものです。吉村知事によると年内に推進委員会を立ち上げ、アジアを代表するデリバティブ市場の創設、金融とITを組み合わせたフィンテックで「革新的な金融都市」の実現を目指します。関経連会長は万博より難しいとの見方ですが、万博誘致も消極的だった先見性のない関経連らしい消極的な発言ですね。

大阪取引所が総合取引所化していますので、シカゴ・マーカンタイル取引所のような、先物などのデリバティブに特化し、株式市場の東京証券取引所との差別化を図るのかもしれないです。管理人の個人的希望は投資分野だけではなく、スマートペイメントや仮想通貨、資産運用や投資アドバイザーなどのAI化も含めて、総合的な金融マーケットを構築して欲しいと思います。

前置きが長くなりましたが、大阪府市の広域一元化条例の概要が発表されました。具体的には現在の「副首都推進本部」を条例で格上げし、成長戦略や街づくりなど府と市の意思決定を一元化するものです。

これは橋下市長から端を発する「府市統合本部」、現在の「副首都推進本部」の位置を条例によって強固なものにするということでしょう。府市統合本部は二重行政の解消や成長政策に大きな成果を上げてきましたが、あくまでも大阪維新の知事と大阪市長という特殊な関係を前提にして成り立っていますし、副首都推進本部も同様の構造です。つまり知事または大阪市長大阪維新以外の首長になったら、容易に解消される可能性が十分に考えられます。そうなれば過去の府市あわせが復活することは間違いありません。

この発表を受けてSNSでは激しく賛否が湧き上がっています。批判理由は住民投票結果を否定するものというものが多いようです。しかし、考えなければならないことは、現在の大阪維新による政治行政を大阪府市民は肯定しているという事実です。ただし、大阪市を廃止して特別区にする制度案は、住民投票で否定された訳ですから何らかの現状を継続する方法を考えなければなりません。少なくとも住民投票有権者の半数近くは、大阪市廃止に賛成だったことを全否定する訳にはいかないでしょう。

現在の属人的関係によって解消されている二重行政の再発防止と、大阪全体の成長戦略や発展政策に大きな力を持つ、大阪府大阪市のベクトルを合わせるための制度と言えます。

住民投票の否決により二重行政自体も否定されておらず、有効な二重行政もあるという声を聞きますが、それも含めて副首都推進本部で議論すれば良いことです。二重行政は結果マイナスだけではなく、議論の停滞による先送りなど時間の浪費にもっと注目する必要があります。その間も税金は浪費されていく訳ですから、必要なものはさっさと結論し実施していくべきです。

今回の条例がどこまで有効化は分かりませんが、大阪維新以外の人が首長になった場合に、条例廃止に動くかもしれません。また行政だけでなく、議会の判断や決議も伴います。もし2月議会で条例が可決されても、今後の議会への提案の中で、大阪維新過半数府議会では肯定するでしょうが、過半数のない大阪市議会では否決の可能性も残ります。

住民投票の不成立でも府と市の一元化は可能かもしれませんが、議会の一元化は実現しませんでした。また同時に大阪市では総合区設置の条例案も議論されるので、こちらもどうなるのか、ここでも公明党に左右されるということになります。特定政党によって地方議会も国政も左右されてしまうのは、健全な民主主義と言えるのか疑問ですね。

2月議会がどうなるのか興味深く見守りたいと思います。