ぼちぼちと都市に暮らす

住んでいる大阪の街についていろいろとかんがえてみる。

新型コロナウイルスと衆議院選挙とオリンピック

今年は衆議院の任期満了の年です。10月21日で衆議院の4年の任期が満了しますので、それまでに解散があることになります。

昨年発足した菅内閣ですが、最近は内閣支持率が30%台になっており、当初の70%以上からすると半分になってしまっています。支持率の高い頃は年内解散などが言われていましたが、菅総理コロナウイルス対策を優先し、結果的には感染が激増して支持率は激減したという皮肉な結果です。

そのような中で新聞やネット記事を見ると、衆議院選挙のタイミングは、ほぼ3つに絞られてきているようです。1つ目は予算成立後、2つ目は東京都議会選挙との同時、3つ目はオリンピック後です。予算成立後ですと3月くらいの解散になるのでしょうが、今日1月4日には、1都3県に緊急事態宣言を発令するというニュースが出ている状況で、解散を考えてる余裕などないでしょう。

次の7月の東京都議会選挙との同時は、公明党が強く反対することと、オリンピックの実現が今年の最大のイベントになるはずなので、もし解散して大敗した場合には菅総理辞任も可能性も考えられると思います。そんなリスクを抱えて勝負に出るよりも、時間を稼いでコロナ対策を進めるほうが、結果的には支持率を上げることができそうです。

やはり最有力なのは、オリンピック後の9月ごろの解散総選挙ではないかと予想します。支持率が大幅に下がっている菅総理ですが、続投を考えているならば、コロナウイルスワクチンの一日も早い接種を開始し、オリンピックを実現するというシナリオを書くでしょう。

そのために政府は、ファイザーアストラゼネカのワクチンに対して、特例承認をすることは間違いありません。政府は昨年にファーザーやモデルナ、アストラゼネカに対してワクチン供給の契約を締結しています。モデルナなどは日本国内にサプライチェーンがないため、武田製薬に対して販売ルート構築の交付金を付け、国民には副作用の政府補償をつけました。

年内に広くワクチンを供給し、オリンピック実現を成果として、解散総選挙に臨みたくない訳がありません。菅総理も今日の記者会見で、「できるかぎり来月下旬までにワクチンの接種を開始できるよう、政府として準備を進めていく」と発言しています。参加選手に対しても、ワクチン接種を前倒しするのではないかと思います。

ワクチンの接種が始まった海外では、アメリカやイギリスが先行していると思いきや、1月3日現在で最もワクチン接種が進んでいる国はイスラエルでした。100人あたりの接種率は11.55%で世界最高だそうです。どうも3月には首相選挙があり、イスラエルでもワクチンが政局になっている模様です。

しかしオリンピックは日本国内だけの話ではありません。参加選手の殆どは海外から参加する訳で、ワクチン未摂取の選手や関係者の来日はどうするのかなど問題は多いでしょう。日本政府とIOCはどのような判断を示すのでしょうか。今のところ政府にはオリンピック中止の考えはないようですが、果たして思惑通りに運ぶのか先行は見通せませんが、何らかの方法を考えて参加させると思います。

日本も医療従事者や高齢者、基礎疾患者から優先的にワクチン接種をする予定ですが、集団免疫を獲得するには、まだまだ時間がかかります。しかし重症化を減少させることができれば、医療の逼迫も緩和され国民に安堵が広がるかもしれません。政府は2月下旬からワクチン接種を開始する計画ですが、今年前半のコロナ対策の成功とオリンピクの実現が、衆議院選挙の結果を左右する最大の要因になるかもしれません。

東京と大阪のコロナウイルス感染拡大と知事への共感性

晦日に東京都ではコロナウイルスの新規感染者数が1300人以上と、初めて1日の感染者数が千人を超えました。大阪は11月22日の409人がピークでしたが、その後は300人前後で高止まりしている状態です。東京都は11月前半くらいから増加に転じて、未だに右肩上がりの状況です。今日1月2日にNHK記事では「東京 埼玉 千葉 神奈川 政府に「緊急事態宣言」発出検討を要請」1都3県に緊急事態宣言を発令するように政府に要請をしました。

大阪も感染が収束した訳でもなく重傷者も増加していますが、どうして東京と大阪で感染の傾向が違うのか。地域的な違いや人口も当然あるのでしょうが、管理人自身のまったく明確なエビデンスはなく単なる感想ですが、東京と大阪における知事への共感性が住民行動に影響しているのではないかと思いました。

ツイッターを見ていると吉村知事へは賛同が7~8割、批判が2~3割なようです。小池知事は比較的批判が多く賛同が4割くらいで批判が6割くらいでしょうか。もちろん小池知事が何もしていないことはないのですが、やたらとカタカナを多用し言葉遊びに感じる点や、政府との不協和音がマイナスしているのではないかと感じます。

昔の専制政治の時代なら、為政者の命令で外出禁止もかけられ、中国ならたやすく制限を課せるでしょう。しかし、民主主義国においては、法律以外に制限をかけることはできず、住民の自主性が大きく影響することになります。この点において住民の知事への信頼性と共感性が、住民の行動に影響を及ぼし、大阪と東京の感染拡大に現れているのではないかと思った次第です。

2020年12月29日の朝日新聞に「コロナ対応、評価トップは吉村知事 理由は丁寧な姿勢?」という記事がありました。その中で『地元知事の評価は地域差が大きく出た。「評価する」は大阪で83%、北海道も8割と高く、東京は52%と全国平均並み。首都圏の神奈川36%、埼玉35%、千葉22%は低めだった。愛知は33%、福岡では6割が「評価する」と答えた』と吉村知事への評価は大阪では8割以上と非常に高い支持を得ています。

吉村知事は先進的に取り組みを実施しており、
・全国に先駆けた「大阪府入院フォローアップセンター」設置
・デリバリーサービスを活用した外出の自粛促進
新型コロナウイルス感染症LINE相談窓口
・「新型コロナウイルス助け合い基金」創設
・「大阪府新型コロナ警戒信号」のライトアップ
新型コロナウイルス重症患者用の臨時施設「大阪コロナ重症センター」設置
これ以外にも政府への提言や法的不備への苦言なども積極的に行っています。やはり政治の信頼性が危機の時に大きく影響するのではないかと思います。

もう一つ大阪と東京の違いは、重症化の基準が違う点が影響していると感じています。昨年の8月18日のNHKには『重症者数が増加傾向 大阪は東京の2倍以上 「基準」に違いも』という記事があり、重症化が大阪は東京の2倍ですが重症化の基準が大きく異なっています。

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2020年8月18日NHK記事より

コロナウイルスの感染者の8割は無症状か軽症と言われています。もっとも重要な対策はもちろん感染を抑制することですが、無症状者からの感染が拡大している状況ではクラスター潰しも難しく、追跡調査も機能しません。この状況で最優先することは重症化対策が非常に重要です。

ところが東京都は重傷者の基準が甘く、当然に重傷者数も大阪より低くなっています。これが住民への危機感を低下させてる原因になっていないのか。大阪は国の基準に従って重傷者を判定していますが、東京都は国の基準には従っていません。1月2日の時点で東京都の重傷者数は94人ですが、国の基準を採用すると重傷者は300人を超えるという指摘もあります。

なぜ東京都が独自基準にこだわるのか分かりませんが、東京オリンピックを実施したいために危機感を抑え基準を甘くしたのかもしれません。しかし、この基準が住民の危機感を薄くさせて、結果的に今日の感染拡大の増加に影響を与えているように思います。

コロナウイルス対策はアクセルとブレーキの踏みどころが非常に難しいのですが、それをコントロールする知事というドライバーの技量の違いが、大きく現れたのかもしれません。この点は政府も同様で、有効な対策を打てずに菅政権の支持率は大幅に低下しています。今回の新型コロナウイルスは、社会に様々な影響と問題をもたらせましたが、大都市における感染症は、新たな都市問題を再確認させることになりました。

今年は衆議院選挙の年なので、最大の政治的焦点は解散総選挙ですが、これについて思うところは後日書いてみたいと思います。

新型コロナウイルスに見る危機管理の政治とは

1月に国内感染が確認された新型コロナウイルスは、もうすぐ1年を迎えようとしています。昨日は菅総理が新たに入国禁止措置を発表したところです。期待できるのは海外でワクチン接種が始まったことでしょう。先のブログにも書いた指定感染症の問題が最近改めて記事に取り上げられています。

12/27にはデイリー新潮に「保健所が厚労省に「2類指定を外して」 体制の見直しで医療逼迫は一気に解消へ」という記事がでています。その中で『医師でもある東京大学大学院法学政治学研究科の米村滋人教授は、 「医療逼迫の真の原因は、日本の医療体制そのものにあります」』と言及しています。

また、今日12/29のPHPオンラインでは学習院大学経済学部の鈴木亘教授が、『一人当たりの病床数は“ダントツ”の日本が「医療崩壊の危機」に陥る理由』で、医療崩壊の要因を明確にしています。

テレビでは医療崩壊の危機を盛んに取り上げていますが、鈴木教授の記事には「2017年時点で、日本の人口1000人当たり病床数は13.1と、先進各国(OECD加盟国)平均の4.7を大幅に上回る。」とあり、これほど多くの病床数を持つ日本で、どうして病床不足が起き、コロナ対策が有効に機能しないのか。その理由として、以下の5つを取り上げています。

「やりすぎ」だった厚労省
一般病床の受け入れを増やせぬ理由
金銭的補償の問題
都道府県間の協力関係が希薄
機能分化の遅れと勤務医不足

『「やりすぎ」だった厚労省』は、指定感染症の措置が厳しすぎたという指摘です。PCR検査数が足りない、ICUが不足している、看護士が足りない等は結果であり、指定感染症自体を見直さなければ根本的問題は解消しないでしょう。

また、「金銭的補償の問題」では、医療機関に対する厚労省の金銭的補償の欠如があります。診療報酬の引き上げや空き、病床に対する交付金など小出しにして、まったくの受け身対応です。

都道府県をまたいだ病床数の融通もうまくいっていません。都道府県間の協力関係が希薄についても、「近年、地域医療構想によって、病床削減や機能別病床の適正化についても、都道府県の責任が強く求められ、都道府県ごとに進捗状況を競わされてきた」ということで、厚労省には一般医療のみを熱心に取り組み、感染症に対する危機管理が皆無だったということです。

まったく柔軟性を持たない医療制度を、どうして政治家たちは真剣に考えないんでしょうか。6月ごろに日本維新の会の梅村聡参議院が国会で、指定感染症の見直しを提案しています。気づいている政治家は存在し、9月ごろには見直しの議論も上がっていました。しかし結果的には何も変わらず、年明けの2月にはさらに1年延長する方向に向かっています。

新型コロナウイルスの対策を最優先して、10月解散を見送った菅総理ですが、最近は支持率が急落しています。その理由はコロナ対策に対する対応が評価されていないことです。最優先政策によって支持率が急落しているとは、なんとも皮肉な話です。外交で力を発揮した派手な安倍前総理、菅総理は内政の特に制度改革が得意です。しかし、危機管理に対しては、2人ともまったく力を発揮できません。

この理由は「時間」がないからです。通常の政策課題は短期間で結果を求められることはありません。政策によっては数十年も議論が続いていることも稀ではありません。自民党の政治体制は、根回しや時間をかけて妥協点を見つけることが多く、急激な危機に対して毅然と対応するノウハウが無いように思います。民主党政権時代の福島原発事故の対応を考えると、自民党だけではないのかもしれませんが、管理人を含めて多くの日本国民は、今回の新型コロナウイルスで、政治の危機管理能力の低さを痛感することになったのではないでしょうか。

その点で賛否はありますが、大阪府の吉村知事の決断と実行力は特筆すると言っても良いでしょう。議員内閣制と違い直接選挙で選ばれる知事は、大統領制に近いのかも知れませんが、「決断できない、実行できない」という政治こそ、コロナ危機の根本的な原因かもしれません。

新型コロナウイルスによる医療崩壊と自民党政治

昨日12月24日には東京都の感染者数が888人と、過去最大の感染者数を記録しました。全国の感染者数が過去最大と報道されるのが、毎日の日課のような状態になっています。

そのような中で、竹本前IT担当大臣が新型コロナウイルスに感染し入院しました。先日この前大臣の後援会が、80人規模の忘年会を大阪市内のホテルで開催し、マスコミから非難されたところでした。その前には自民党二階幹事長が開いた食事会に8人参加し、菅総理も出席して大批判を浴びました。国民に外出自粛と会食をやめろと言いながら、与党国会議員のこの緊張のなさと無責任さには呆れるとともに怒りを感じます。

ネットの言論プラットフォーム「アゴラ」で池田信夫氏が日本は民間病院が8割で、公的医療機関は2割しかなく、コロナウイルス感染者の受け入れをしないと書かれていました。EUなどでは50%以上が公的医療機関らしいです。

日本の場合は戦後の復興で医療体制を早く作るために、民間医療機関を増やしたらしいです。これが今回の医療崩壊の大きな要因になっているとの池田氏の指摘です。どういうことかと言えば、医療法では民間医療機関に指定感染症者の受け入れを、強制できないらしいのです。公的医療機関にも命令は出来ないが、立場上受け入れざるを得ません。そこで受け入れ病院に患者が集中し、医師も看護士も足りず医療崩壊の危機が叫ばれるという構図です。

感染者数の多い海外の国に比べて、日本の感染者数は1/40らしいですが、日本は人口あたりの病床数が世界一多く、ICUの数も非常に多いと聞きます。感染者数が少なくて、集中治療室も病床数も多くて、なぜ医療崩壊するのでしょうか。

昨日の関テレニュースで大阪府からの病床増床に対して医療団体の代表が「絶対反対」との発言もあり「”病床確保”…吉村知事が訴えるも『医療機関から厳しい声』」という記事が出ていました。大阪府では軽症・中等症病床約1200床のうち76%ほどが埋まっていて、公立病院では9割が患者を受け入れていますが、民間病院では1割に留まっていると書かれています。

そこで大阪府の対策会議で民間医療機関に受け入れを依頼したところ、私立病院協会の会長が「絶対反対」と言及しました。吉村知事は「やらないという判断ではなく、やるという判断をお願いしたい」と懇願していますが拒否の姿勢を崩していません。TVでは医師会の団体が医療崩壊の危機を訴え、国民に外出自粛や会食をやめろと要請していますが、自分たちのやるべきことは、もっとコロナ感染者の受け入れではないのでしょうか?

池田氏も民間医療機関は受け入れを増やすべきだと指摘しますが、反面でそれは難しいだろうとの見方です。その理由は医師会が自民党に対して、非常に強い力を持っているからだと言います。医師会は自民党の大きな支援団体で、巨額の寄付を行っています。医療法を改正して、民間医療機関にも受け入れ命令を出せるようにするべきですが、医師会に拒否されて不可能だろうというなら、今回の医療崩壊危機は自民党政治による不作為が招いた茶番劇としか言いようがありません。

先般に菅総理がGoToトラベルの一時停止を宣言し、自民党内部から強い批判があったという記事を見ました。専門家会議が停止を要求して菅総理が実行したのに、党内から強い批判が出るのは、観光旅行業界の族議員が強い力を持っているからでしょう。二階幹事長などは観光議連の会長らしいです。

経済対策を打てば感染拡大すると医師会からは拒否され、経済対策をやめれば経済界や族議員が反対するという板挟みに、最大の被害者はコロナ感染に晒されている国民です。

これは菅総理の問題ではなく、自民党という政治組織そのものの本質です。アベノミクスで無節操なばら撒きを行い、国民の人気を得てきましたが、コロナ危機に対しては安倍前総理も菅総理も国民の期待に応えることは出来ませんでした。その理由は明確で、自民党の金権体質が最大の理由です。数ヶ月前にはIR関連で中国企業から賄賂を受けていた秋議員、選挙違反で裁判中の河合夫妻、先日には鶏卵業者から賄賂を受け取っていた吉川元農林大臣など、もう呆れるとしか言いようがありません。

支援業界団体の利害関係により、医療崩壊と経済崩壊の危機を招いているのにも関わらず、政府の国会議員たちは会食している無自覚さと無責任さは末期的です。

TVではPCR検査数をもっと増やせとか、鎖国しろとか無責に放送していますが、本当に指摘しなければならないことは、医療資源を柔軟に効率的に運用できない日本の医療行政だと思います。コロナウイルスと同程度の年間死者数をもたらす季節性インフルエンザで、医師会や医療機関が崩壊危機に瀕したことがあるでしょうか。感染しても8割は無症状または軽症であり、本当に必要なことは重傷者への対応拡大でしょう。そのためには日本国内の医療資源の効率的な運用が不可欠です。

特措法の改正も上がっていますが、営業自粛を強制化するとか、保証金をつけるなど今頃です。大阪府の吉村知事は二次救急の医療機関110の病院に対して、新たに病床の確保を要請する方針を決めました。国に財政支援を求めていますが、国が応じない場合は大阪府単独でも受け入れ医療機関への財政支援を行うようです。財政支援を行うなら、まずは感染者を受け入れる医療機関に対してでしょう。

日本で医療機関が崩壊寸前と言われますが、すでに崩壊しているのは国の政治であり、その被害者である国民に責任を被せるという責任転嫁は、もはやコロナウイルスの悲劇としか言いようがありません。

大阪府市の広域一元化条例の概要が発表されました

大阪府市の広域一元化条例が発表されましたが、昨日はそれ以外にもいろいろ動きがありました。

まず、住民投票前の218億円の捏造事件について、産経新聞によると、「大阪市幹部ら減給処分へ 都構想コスト増試算、公文書破棄」という記事です。「大阪都構想住民投票(11月1日)直前に「大阪市を4分割すると、218億円のコスト増になる」との試算を市財政局が報道機関に提供した問題で、大阪市が、住民投票に関する公文書を故意に破棄するなどした財政局幹部ら3人を減給の懲戒処分とすることが23日、市関係者への取材で分かった」とのことです。

処分内容が、それぞれ減給10分の1(3~6カ月)との発表ですが、正直「はぁ~?」ですね。重要な市民の選択である住民投票をぶち壊し、公職選挙法違反にも抵触するかもしれない暴挙に対して、この程度の処分は正直がっかりです。クーデターを実行した人たちに対して、この甘い処分はありえない内容で、本当に大阪市にはがっかりすることばかりです。これが民間企業ならばクビでしょう。残念としか言いようがありません。

次に同じく産経新聞には、「大阪、アジア代表するデリバティブ市場目指す 国際金融都市構想で官民が準備会」という記事です。

先のブログにも書いた通り、国際金融都市を目指すというものです。吉村知事によると年内に推進委員会を立ち上げ、アジアを代表するデリバティブ市場の創設、金融とITを組み合わせたフィンテックで「革新的な金融都市」の実現を目指します。関経連会長は万博より難しいとの見方ですが、万博誘致も消極的だった先見性のない関経連らしい消極的な発言ですね。

大阪取引所が総合取引所化していますので、シカゴ・マーカンタイル取引所のような、先物などのデリバティブに特化し、株式市場の東京証券取引所との差別化を図るのかもしれないです。管理人の個人的希望は投資分野だけではなく、スマートペイメントや仮想通貨、資産運用や投資アドバイザーなどのAI化も含めて、総合的な金融マーケットを構築して欲しいと思います。

前置きが長くなりましたが、大阪府市の広域一元化条例の概要が発表されました。具体的には現在の「副首都推進本部」を条例で格上げし、成長戦略や街づくりなど府と市の意思決定を一元化するものです。

これは橋下市長から端を発する「府市統合本部」、現在の「副首都推進本部」の位置を条例によって強固なものにするということでしょう。府市統合本部は二重行政の解消や成長政策に大きな成果を上げてきましたが、あくまでも大阪維新の知事と大阪市長という特殊な関係を前提にして成り立っていますし、副首都推進本部も同様の構造です。つまり知事または大阪市長大阪維新以外の首長になったら、容易に解消される可能性が十分に考えられます。そうなれば過去の府市あわせが復活することは間違いありません。

この発表を受けてSNSでは激しく賛否が湧き上がっています。批判理由は住民投票結果を否定するものというものが多いようです。しかし、考えなければならないことは、現在の大阪維新による政治行政を大阪府市民は肯定しているという事実です。ただし、大阪市を廃止して特別区にする制度案は、住民投票で否定された訳ですから何らかの現状を継続する方法を考えなければなりません。少なくとも住民投票有権者の半数近くは、大阪市廃止に賛成だったことを全否定する訳にはいかないでしょう。

現在の属人的関係によって解消されている二重行政の再発防止と、大阪全体の成長戦略や発展政策に大きな力を持つ、大阪府大阪市のベクトルを合わせるための制度と言えます。

住民投票の否決により二重行政自体も否定されておらず、有効な二重行政もあるという声を聞きますが、それも含めて副首都推進本部で議論すれば良いことです。二重行政は結果マイナスだけではなく、議論の停滞による先送りなど時間の浪費にもっと注目する必要があります。その間も税金は浪費されていく訳ですから、必要なものはさっさと結論し実施していくべきです。

今回の条例がどこまで有効化は分かりませんが、大阪維新以外の人が首長になった場合に、条例廃止に動くかもしれません。また行政だけでなく、議会の判断や決議も伴います。もし2月議会で条例が可決されても、今後の議会への提案の中で、大阪維新過半数府議会では肯定するでしょうが、過半数のない大阪市議会では否決の可能性も残ります。

住民投票の不成立でも府と市の一元化は可能かもしれませんが、議会の一元化は実現しませんでした。また同時に大阪市では総合区設置の条例案も議論されるので、こちらもどうなるのか、ここでも公明党に左右されるということになります。特定政党によって地方議会も国政も左右されてしまうのは、健全な民主主義と言えるのか疑問ですね。

2月議会がどうなるのか興味深く見守りたいと思います。

大阪の成長戦略ってどうなってる?

12月20日のネットで『自民党大阪府連が「大阪成長戦略本部」を発足 大阪市を発展させる政策を話し合う』という記事が出ていました。

自民党大阪府連は大阪都構想住民投票について、「否決はされたが、大阪市の停滞打破を望む民意は重く受け止めるべき」と総括していて、国や大阪府大阪市などへの政策提言を目指していきたいとしています』とのことです。

今のところ何も具体的なものはなく、とにかく成長戦略を検討しようということらしいですが、過去の選挙公約などを見ると「近畿メガリージョン」など、従来からの自民党らしい公共事業依存の政策しか見ることはできませんでした。果たして今回はどのような成長政策を提示するのか興味があります。

大阪の成長政策については、橋下知事時代の平成22年(2010年)に2020年を目処にした「大阪の成長戦略」が作られています。その後平成25年に大阪府大阪市の戦略を一本化し、国家戦略特区の指定、関空の再生、うめきた再開発、なにわ筋線の実現、統合型リゾートの誘致など数多くの計画が実行されてきました。

個人的な主観は別として、一般の大阪府市民からは少なくとも2010年以前の大阪よりも、ずっと活気が出てきたと実感できるのではないでしょうか。

今回の新型コロナウイルスの感染拡大により、インバウンドが壊滅的な影響を受け、インバウンド政策自体が間違いのような意見もありますが、管理人は少なくともそうは思いません。その理由は京都や大阪・奈良など世界でも有数の観光資源を持っているからです。なぜインバウンドかと言えば、大阪府大阪市も財政が厳しい状態だったからです。

普通は新たな事業を興そうとすれば、巨額の投資資金が必要になります。過去に大阪市ベイエリア開発のため数兆円を投資して大失敗しました。ところが大阪府自体が財政破綻寸前だったのですから、巨額の投資などできる訳がありません。そこで橋下知事が行ったことが、関空伊丹空港の統合とLCCの誘致でした。またアベノミクスの円安による追い風もあり、以後のインバウンド需要は空前の活況を実現しました。

インバウンドは単なる観光需要というよりも、お金のない大阪が外資を得られる貴重な外資導入政策でした。インバウンド需要により難波を始めとする地域は、大変な需要が生まれ、ホテルの建設ラッシュなどにより不動産価格は上昇、求人増加による失業率の改善など多くの経済効果をもたらしました。

今後のイベントとしては、2025年の関西万博と誘致実現するであろう統合型リゾートがあります。ただ万博は一過性のイベントであり、統合型リゾートは観光政策の延長線上でしかありません。やはり肝心なのは大阪に新しい産業が、生まれるか否かではないかと思います。そこで非常に優れた機会になるだろうと思われるのが、2025年の関西万博です。この万博は「未来社会の実験場」と位置づけられており、新しい物事を試みるにはまたとない機会になるはずです。

大阪府では今後の成長政策として「健康・医療関連産業の世界的なクラスター形成」「インバウンドの増加を契機としたアジア市場の取り込み強化」「第4次産業革命に対応したイノベーションの促進と生産性向上」「人口の減少と産業構造の変化に対応した人材力強化」などを具体的にあげています。

インバウンドはどちらかと言えば、海外に先行事例があるので計画しやすかったと思いますが、新産業となると簡単にはいきませんし、これまでのような潜在的な資源を有効活用する方法も取りにくく、何らかの投資を伴うことになるでしょう。また投資したから成功するとは限らないところが新産業です。再生医療は今後の成長する産業に発展するでしょうが、そのような分野こそ世界が競う領域でもあります。残念ながら大阪府大阪市の一体化は否定されましたが、世界と競合していく上で大阪の一体性が保てるのかにはやはり不安が残ります。

最近もう一つ期待できる動きも出てきました。それはSBIグループの北尾代表が、大阪や神戸に金融機能を作ると表明したことです。菅政権も金融都市を設置する動きがあります。大阪は古くは米相場があり、先物取引を世界に先駆けて行って来た都市でもあります。住友銀行(現三井住友銀行)や三和銀行(現三菱UFJ銀行)、大和銀行(現りそな銀行)に野村證券も大阪発祥の企業です。東京と違い交易都市として発展してきた歴史は、金融都市としての能力が十分に発揮できるではないでしょうか。

万博を契機とした新産業と金融がうまく結びつき、新しい産業創造都市に変貌することを期待したいと思います。

新型コロナウイルスとインフルエンザはどちらが危険?

最近のネット記事にも現場の医師からも「指定感染症の指定を解除して5類に格下げしてほしい」という声が紹介されています。しかし、日本の病床数は人口比で世界一といわれており、感染者数も欧米に比較すると数十分の一しかありません。それなのになぜ病床が逼迫するかというと、欧米は半数が公的医療機関で日本は2割しかないらしい。

公的医療機関なら政府や自治体が指示すれば、専用病床への転換が容易ですが、民間病院では依頼しかできないためです。感染症指定病床を柔軟に変動させるためには、法律を変えて民間病院にも指示ができるようにしなければならないでしょう。民間医療機関は指定感染症患者を受け入れたがりませんので、必然的に指定医療機関に集中して逼迫するのは当然です。

ただ、気になる記事を最近見ました。それは新型コロナウイルスの致死率が非常に高いというものです。イギリスのブリティッシュ・メディカル・ジャーナルという医療誌に掲載されました。ワシントン大学の研究者によるとアメリカ合衆国退役軍人省のデータを解析したところ、インフルエンザの致死率が5.6%で新型コロナウイルスの致死率は18.5%という結果が判明しました。

SARSの致死率が14~15%と言われているので、指定感染症2類以上の致死率になってしまいます。これでは指定感染症の解除は困難と思われるのですが、しかし日本のデータを見るとそうでもありません、11月以降で感染者が急増していることは間違いないのですが、12月20日現在で累計感染者数は19万9960人、死亡者は2930人と、日本だけを見れば致死率は1.5%未満です。

この違いは何なのかは未だに判明していませんが、やはりBCGワクチンが要因ではないかと言う説が濃厚なようです。なぜかと言うとBCGワクチンを接種しているアジア諸国は致死率が低く、接種していない欧米は高いという特徴たあります。またEUでもBCG接種しているポルトガルの感染者数・死亡者数は、接種していないスペインよりかなり低い結果となっています。
BDG以外には交差免疫の可能性です。アジアでは過去に別種のコロナウイルスに感染した人が多く、新型コロナウイルスに対して獲得免疫ができているのではないかという説です。まだ「ファクターX」は確定していませんが、日本と欧米を同列比較して検査数が足りないという、TVコメンテーターには注意するべきでしょう。今の段階で検査数を増やせば、病床数はあっと言う間の100%を超えてしまいます。

医療機関だけではなく、保健所も限界を超えていると言われているので、指定感染症を5類に変更する方が良いと思いますが、変更しないというのなら医療法を改正するべきだと思います。医療法の改正には医師会が大反対するようですが、不作為で医療崩壊することは医師会の本意に反するのではなでしょうか。
日本における致死率だけを見れば、新型コロナウイルスもインフルエンザも極端な差はないと思います。以前のブログにも書きましたが、インフルエンザの致死率は0.1以下ですが、感染者数が2桁くらい違います。

今の段階で本当に必要なことは、GoToトラベルの停止や営業自粛よりも、治療薬と治療法の確率、専用病床の柔軟な対応の体制こと整備しておくべきだったのではないかと思います。

大阪府が最近「大阪コロナ重症センター」を稼働させましたが、肝心の医療スタッフが足りず、自衛隊初め関西広域連合や知事会に派遣要請したところ、各地から医療スタッフが派遣され、何とか稼働をさせることができるようになりました。これこそが医療資源の柔軟な体制の一例ではないでしょうか。医療資源を効率的に運用できれば、医療崩壊の危険性も低減できるのですが、マスコミは危機を煽るばかりです。やはり政府の危機管理能力が足りないと言わざるを得ないでしょう。多くの飲食店や観光業者が危機に貧しているにも関われず、国会議員が会食している状況では期待はできません。

私達にできることは、とにかくソーシャルディスタンスと手指の消毒を徹底することしかありません。あとネットの記事には、紅茶がコロナウイルスに対する消毒力が高いとのことでした。緑茶がインフルエンザウイルスを殺菌する能力が高いことは、論文発表されておりマウスウォッシュより手軽かもしれません。インフルエンザが流行する季節に、医師が15分に一回くらいお茶を飲むという記事をみたことがあります。政府の危機管理能力が低いなら、個々人が危機管理を高めるしかないのかもしれません。